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東日本大震災被災地の現状と、子供たちの笑顔を作る破牙神ライザー龍

2015年03月11日 10時00分更新

文● MOVIEW 清水、編集●オオタ/ASCII.jp

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被災地の今

 2011年3月11日。東北を中心に大きな被害を与え、日本全国に絶望的な衝撃と深い悲しみをもたらした、あの東日本大震災からちょうど4年が経過した。それだけの月日が流れても、実際にはまだ、東北地方だけでも18万人以上の方が避難生活を送っており、全国では23万人を超える方々が避難生活を余儀なくされている(復興庁2015/2/27資料)。

 その被災地で、子供たちを楽しませる活動をしている方々がいる。宮城のヒーロー・破牙神ライザー龍である。筆者はその破牙神ライザー龍を運営するRYU PROJECTの立ち上げ当初よりさまざまな情報をいただいていたが、これまで実際の活動を見たことが実は無かった。このまま被災地の現状、RYU PROJECTの活動を見ることなく、東京で情報を伝えることに疑問を感じ、今回、震災の被害の大きかった萬画の街・石巻から、人口の1割の方がなくなったという女川を中心に被災地を訪問。さらにRYU PROJECTの方々にお話しを伺うことにした。

萬画の街・石巻

 仮面ライダーやサイボーグ009などの作者・石ノ森章太郎氏のキャラクターであふれる萬画の街・石巻。震災では津波によって多くの被害がもたらされた。下記は、震災から1ヵ月半後の2011年4月下旬に撮影された写真である。

仮面ライダーのモニュメントのある商店街。道路は通行できるようになっているが、津波が運んできた土が道を覆っている

さるとびエッちゃんのモニュメントの周辺。奥には破壊された建物、傾いている建物、そして津波で運ばれてきたボートが見える

ロボコンのモニュメントの周辺。歩道はがれきに埋め尽くされている

石ノ森章太郎氏の原画などが展示されている石ノ森萬画館のある中州へ渡る橋。津波のために手すりが破壊されている

石ノ森萬画館のそばにあった、日本最古の木造教会・旧石巻ハリストス正教会教会堂。1978年の宮城沖地震で被害を受け、この地に移築されていたが震災では2階まで浸水し、外壁が損壊した。現在は移築のために解体されている

 あれから4年。石巻は平穏さを取り戻し、普通の生活ができる街へと復活しているように見える。しかし、街中にはまだまだ震災の傷跡が残っており、空き地となっている場所が数多く点在。震災前と同じ状態になるにはもう少し時間が必要という印象を受けた。下記は現在の石巻の様子。

仮面ライダーのモニュメントの周辺。奥にあった建物は新築され、商店街の屋根は取り壊されている

さるとびエッちゃんのモニュメントの周辺。周囲は新しく建てられた建物に変わっている

ロボコンのモニュメントの周辺。あれだけあったがれきはすでになく、道もきれいに整備されているが、奥に建物があったらしいスペースが空き地になっている

川の周辺は新たに壁が設けられているが、ガードレールなどは曲がったままとなっているところもある

石ノ森萬画館の入り口。ガラスに津波の遡上高を表すマークがついている。チリ地震による津波と同規模の津波がきても問題ないように1階の高さを8mにしていたため、震災による津波は1階部分の浸水で、3階以上にある貴重な原画などは被害を免れた

街のあちこちにある、建物があったらしき跡。このような場所がなくなるのはまだまだ時間がかかりそうである

街ごとなくなってしまった女川

 石巻からほど近い原発の街・女川。津波による被害は甚大で、街の人口の1割の方が亡くなった。また震災後の原発停止により、その関連の仕事がなくなり、街から離れる方も多いという。

 先日、ウィリアム王子が訪問した復興情報センターでは、家族を震災で亡くしたという、案内係の方から被災時の貴重な体験談をお伺いした。その話はとても生々しく、たいした被害があったわけでもない東京で安穏としていた身としては筆舌に尽くしがたい内容であった。

石巻と異なり、女川は街全体が壊滅状態。現在はほぼ更地となっており、全体に盛り土をして6m高くする工事が行なわれている。この工事が完了するまで勝手に建物を建てることはできないとのこと。また、あまりにも広範囲であり、全体の工事が完了するのがいつになるのか、まったく見当がつかない

現状のまま保存が検討されている交番。横転しているこの建物は2階部分であったとのこと。左側に鉄筋コンクリートの杭が飛び出している。津波の威力を物語る負の遺構である。奥に見える白い建物は3月21日に再開する石巻線終着駅となる女川駅舎。津波の被害を受けた旧駅舎より150m内陸部に作られているが、駅ができても周りには何もない

 今年5月には仙台と石巻を結ぶ仙石線も全線復旧し、この女川までの線路がすべてつながるといった明るいニュースも聞こえてきているが、復興したと言えるまでにはまだまだ時間も費用も必要という印象を受けた。

 そうしたなか、被災地でがんばっている方々、特に子供たちを笑顔にしたいということで活動を続けている破牙神ライザー龍。次のページでは、その活動についてお伝えする。

次ページでは、「被災地のヒーロー・破牙神ライザー龍

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