富士通研究所は3月9日、独立行政法人土木研究所と共に、洪水予測の際に河川の流量を計算する洪水予測シミュレーターのパラメーターを最適な値に自動調整する技術を開発したと発表した。パラメーターとは、最終浸透能や流出係数など、雨水の土壌への浸透しやすさや下流への流れやすさを表わす値。
現在、水害対策で重要な河川の流量を予測するため、一部の河川管理業務では洪水予測シミュレーターが運用されている。このシミュレーターでは、流域の状態をきめ細かく反映するため、地形、森林や市街地といった土地利用の分布をモデル化した「分布型流出モデル」の利用が望まれているが、予測の精度を高めるための最適なパラメーターの決定の難しさが課題だった。
今回開発したのは、分布型流出モデルのパラメーターを、最適化アルゴリズムの選定と適用により自動決定する技術。分布型流出モデルに基づく洪水予測シミュレーターを常に最適な設定に調整して運用することが可能となる。これにより、予測した河川の流量によって、河川管理者が防災、減災のための対策を適切に判断できるようになるという。


