2015年は「クラウドを自分の手で作ろう」
── そういった事情のなかで、2015年の日本エイサーはどのような戦略を考えているのでしょうか。
安藤 数年前からハードウェア製品だけでなく、サービスの開発提供も行なってきました。「クラウドを自分の手で作ろう」という考え方の“build your own cloud”(BYOC)を積極的に推進しています。そこで、クラウドを利用した自社アプリの「abApps」を、販売製品にプリインストールするなどして、認知を高めていきます。
このサービスはエイサー製品だけに関わらず提供していますから、誰でも自分でクラウドを作れる環境が実は整っているんですね。日本にもそれを浸透させるため、より強く主張していかなくてはなと考えています。
── 日本エイサーとしては初のスマートフォン「Liquid Z200」が1月に登場しました。クラウドとモバイルの相性の良さもありますね。
安藤 モバイル製品における「クラウドでデータを常に持ち歩ける」という感覚は非常に重要です。スマートフォンでは自分自身の手でクラウドを作る重要性も理解していただけると思います。
そしてスマートフォンは、海外向けにラインアップを幅広く用意しています。今年はこのZ200だけでなく、2014年にグッドデザイン賞を受賞した「Liquid Jade」などを日本市場へ投入していきながら、そしてクラウドの「BYOC」を利用していただきながら、気が付くとエイサーの何かを使っているような環境になるといいな。そんなふうに考えています。
── 「Liquid Z200」も税別で約1万円と、かなりリーズナブルな価格です。メーカーを意識せずに買ったスマートフォンで“エイサーデビュー”していて、それに合わせてエイサーのクラウドを使ってみようと思う人は多いでしょうね。
安藤 今後は製品同様、徐々にBYOCという言葉もプロモーションしていくつもりでいます。
流れに身を任せず、新たな流れを作る
── 2015年の傾向として見えてきたものはありますか。
安藤 一般的なノート製品などにも力を入れながら、今お話ししたようなサービスや、これから広まるであろうChromebookなど、今までにない分野に踏み込んでいくと思います。市場の流れに身を任せるのではなく、新たな流れを作るようにしていきたいですね。
── 「スマートフォンは、海外向けにラインアップを幅広く用意している」というお話がありましたが、海外向け製品の国内投入にも期待したいところです。
安藤 どちらも国内未発売なのですが、スマートフォン「Liquid Jade」と2in1ノート「Aspire R13」は日本でグッドデザイン賞を受賞しています。この2つはぜひ投入したいですね。
「ウチのパソコン、エイサーだった!」
── 製品のほか、力を入れている取り組みはありますか。
安藤 昨年夏から始めた取り組みとして、JリーグのFC東京のスポンサーをさせていただいています。これはエイサーの名前だけを売るためではなく、もっと地道に、製品とエイサーの名前をともに広めていく活動の一環と考えています。「Chromebookといえばエイサー」「低価格スマホといえばエイサー」など、製品を手に取った人がいつのまにかエイサーを知っているという形につながると嬉しいです。
ひとつ面白いエピソードがあって、FC東京のスポンサーをしてから「ウチのパソコン、エイサーだった!」といった声が聞こえるようになりましてね。FC東京サポーターは人情味あふれる“江戸っ子”といいますか、チームだけでなくスポンサーのことも好意にしてくださるんです。これは嬉しい誤算でしたね。
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