「新しい流れをつくる」「今までにない分野に踏み込んでいく」――取材で聞いた言葉のとおりに、2014年から2015年にかけての日本エイサーはChromebookをはじめとする新しい製品をいち早く投入してきた。
さらに2015年2月には、同社初のスマートフォン「Liquid Z200」を発売。税別で約1万円という価格が話題を呼んだ。従来からのパソコンだけでなく、Chromebook、低価格スマートフォンと幅広く展開し始めた日本エイサーは、今後どんな動きを見せてくれるのか?
2015年の戦略をプロダクトセールス&マーケティング部 安藤康夫氏に聞いた。
Chromebookは予想を超えた
── まず、2014年はどのような年だったか、お聞かせください。
安藤 上半期は「売れるものに絞ろう」という動きがあり、売れ筋の15型と11型ノートパソコンに注力していました。年末から2015年にかけては「攻め」の姿勢にシフトし、秋口からは2in1の「Aspire Switch 10」や8型Windowsタブレット「Iconia Tab 8 W」、そして「Chromebook」を発売しました。
── Chromebookは大きな話題となりました。
安藤 Chromebookの発売を待っていてくださった方々の声も聞こえてきました。11月に発売した「Chromebook C720」は予想を超える売れ行きでして、ボーナス時期目前に発売できたのも大きかったかなと。高速無線LAN対応、長時間駆動など機能をより高めた新モデル「Chromebook CB3」「CB5」も発売し、Chromebookそのものも徐々に認知されてきたように思います。
ただ、法人向けに関しては「実際に使ってみないと、本当に導入できるのかわからない」ということもあり、米国のように勢いよくシェアが拡大する様子は、国内では見受けられませんでした。
── 「米国のようにいかなかった」という話について詳しくお聞かせください。グローバル市場と日本市場とでは、一体どのような点が異なるのでしょうか。
安藤 簡単に言うと、「言語」が根本的に異なる点は大きな影響をもたらします。日本はほかのアジア圏に比べても英語が通じにくく、サポートが英語だけですとあまり受け入れられないのは昔からの特徴ですね。
また、教育市場も大きく異なります。例えば米国が新しいものをどんどん取り入れていくのに対し、日本には「本当に良い物かどうか見極めてから」という国民性があるように思います。
── 日本市場へ向けた独自の工夫が必要なのではないですか。
安藤 エイサーは、イタリアをはじめとしたヨーロッパ、またはタイ、インドネシアで高いシェアを獲得しています。しかし日本においてエイサーは必ずしも認知されているわけではありませんし、ましてや高いシェアを獲得しているわけでもありません。広く認知されている国での戦略と、認知がまだまだの国での戦略は根本的に異なるのです。

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