「いい音」を探る楽曲制作プロジェクト
東京女子流の楽曲完成! ハイレゾとCDの作り方の違いは?
2015年03月23日 17時00分更新
音のバランスを整えていくトラック・ダウン作業
まずはトラック・ダウン作業について、当日のスタジオでのやり取りを元に紹介していこう。今回、96kHz/24bitのデータを扱っているが、普段は48kHz/24bitで作業しているとのこと。そのほかの環境についてはいままでの東京女子流の音楽CD制作環境と比較して異なる部分はない。
小島 1曲のトラック・ダウン作業ではどのくらい時間がかかるんですか?
与田 僕らは早いほうだと思います。昼にスタートして夜には終わるので。いまはPCの画面上でやるので、作業環境がすぐに呼び出せるからもし長引いても次の日に回せますから楽ですよね。トラック・ダウンの緊張感はなくなりました。
小島 それに、データは何度でもやり直しがききますからね。
与田 音源がデータになることで、マスターへの考え方も変わりましたね。昔はマスターテープをなくすなんて考えられなかったのですが、いまはマスターデータを消しちゃったから再送してください、ということもあります(笑)。ただ、何度も作業をやり直せるから終わりがありません。
小島 確かに(笑)。時間の制約もありませんからね。今回の楽曲は何トラックくらいになりましたか?
与田 ステレオで40トラックくらいですね。それほど多くはないほうですが……。
川口 マシンへの負担は大きいですね。各音源を96kHz/24bitで扱っているので、カードパワーが足りなくてPro Toolsのプラグインが立ち上がらない……。
与田 Pro Tools HDカード※1を使っているのですが、それでも厳しいみたいですね。
※1 DAWソフトウェア「Pro Tools」の「Pro Tools HD Systems」において使用されるカード群の総称。システム・コアとなる「HD Core Card」に、プロセッシング用の「HD Processカード」などを用途別に組み合わせて使える
川口 割り当てるトラックなどを調整すれば大丈夫だと思います。
与田 今回、ハイエンドオーディオシステムで聴くことを前提としてハイレゾ用チューニングのマスタリングにしたいと思っています。それと通常の音楽CDでできあがってきたものとを比較します。だから打ち込みの音やレコーディングした音などもすべて96kHz/24bitにして作業しています。
トラック・ダウン作業開始──ドラムやベースなどリズムからスタートして、各楽器、ボーカルへと音のバランスを整えていく
楽曲を何度も試聴しながらイコライザーなどを使って微調整
(次ページでは、「CD用のトラック・ダウン終了」)
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