米インテルは、3月2日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催中の展示会“Mobile World Congress”の会場で、Atom xシリーズを発表した。既存のCore iシリーズのように、Atom x3、x5、x7の3シリーズに分けられ、その後ろにモデルナンバーが付いて性能を表す。
通信機能を1チップ化、低価格Android端末で存在感を示す
注目は低価格のAndroidスマートフォンやファブレットへの搭載を狙った、ローエンドのAtom x3シリーズ。
SoFIA(ソフィア)のコードネームで知られてきた製品で、LTEや3G通信に必要なセルラーモデムを内蔵したSoCとなる。これまでインテル製のSoCでモバイル通信に対応するためには、XMM7260といった外付けモデムが必要だった。競合他社はベースバンドやRFチップを一体化しているため、低コストで小型の端末を作る際のデメリットになっていた。
CPU部分はBay Traiなどと同様、x86ベースのSilvermontコアを採用。プロセスルールは22nm。64bit対応で、モデルに応じてデュアルコア/クアッドコアが選べる。GPUとしてARM Maliシリーズを統合。カメラ接続用のISP(Image Signal Processor)をもち、Wi-FiやBluetooth、GPS、3GまたはLTE通信に対応したベースバンド/RFなども1チップに統合。メモリーやストレージを追加するだけで、スマホやタブレットに必要な機能が揃う点が特徴となる。
現状ではAtom x3-C3130(2コア、1.0GHz、3G通信)、C3230RK(4コア、1.2GHz、3G通信)、C3440(4コア、1.4GHz、LTE通信)の3モデルが用意されており、動作クロックと対応する通信規格に加え、GPUやビデオコーデックなどの周辺機能に違いがある。
価格帯はAtom x3-C3130が75ドル程度、LTEモデム搭載のAtom x3-C3440は100~200ドル前後になる見込み。これまでインテルが弱かった1万円以下の低価格スマートフォン/タブレットにおける存在感を示すきっかけになりそうな製品だ。
BayTrailの後継となる「Atom x5」「Atom x7」
一方、高性能端末向けのプロセッサーとしてリリースされたのが、Atom x5とAtom x7シリーズ。Cherry Trailのコードネームで知られてきた製品で、プロセスルールを14nmにシュリンクしたx86コア、Airmonを採用している。タブレットや小型の2in1機といったWindows/Android端末への搭載を見込んでいる。CPUコアの微細化によって空いたスペースをグラフィックス性能の強化にあて、EUと呼ばれるグラフィックスエンジンの数は従来の4基から最大で16基となった。
また、HEVC(H.265)のハードウェアデコードに対応するなど周辺機能も強化。上位は4K動画の出力などにも対応する。
現状ではAtom x5-8300(4コア、1.84GHz)、Atom x5-8500(4コア、2.24GHz)、Atom x7-8700(4コア、2.4GHz)などがある。価格は250~350ドル前後になる見込み。
あわせてインテルは、Atom x5/x7シリーズとの組み合わせを想定した外付けLTEモデム「Intel XMM 7360」も発表。LTE-Advanced カテゴリー10のキャリアアグリゲーションに対応することで、下り最大450Mbpsの通信が可能だという。