独立行政法人 農業・食品産業技術研究機構(農研機構)は2月25日、太陽光発電牧柵システムに揚水ポンプを組み合わせ、家畜飲水供給システムを開発したと発表した。
既存の太陽光電機牧柵システムに直流電源で駆動する揚水ポンプを組み合わせ、家畜の飲水を自動供給するシステム。100m離れた高さ20mの場所に対し、1時間あたり約400リットルの水を供給できる。
夏場の放牧牛の飲水が1頭あたり1日45リットルとして、30分のポンプ駆動で4頭を飼育でき、電気牧柵への電圧低下は影響しないという。システム導入コストは約6万円(既存電気牧柵システムや配管を除く)。
農研機構では、同システムが開発された背景として日本全土に耕作放棄地が広がっていることを挙げている。耕作放棄地は全国でおよそ40万ha程、滋賀県の面積にも匹敵する。食料生産だけでなく農地保全の点からも放棄地の縮小・解消が求められているが、商用電源から遠い耕作放棄地を放牧地として利用するには揚水に用いるコストが問題となっていた。農研機構では、導入方法などに関する講習会を開催し、本技術普及を図ってゆくとしている。