日本のアプリ経済の規模は約8200億円、56.5万人が携わる
近年のスマートフォンの普及によって、スマートフォン向けアプリを利用したビジネス「アプリ経済(App Economy)」が生まれている。同レポートではこのアプリ経済を、スマートフォン向け広告、有料アプリの売上(法人向けを含む)、ソーシャルゲームの課金、Eコマースなどのアプリ内売上などを合算したものと定義し、規模や動向を評価している。
同レポートの試算によると、2013年度の日本のアプリ経済の規模は約8200億円。2011年度の約2200億円から飛躍的な成長を見せており、同レポートでも「インターネット産業の中でも急速に拡大している分野」だと述べている。
また、アプリ経済に関わる就業者数は56.5万人と推計されている。なおここにはアプリ開発者、アプリビジネスに携わる就業者(企画、販売など)だけでなく、アプリ関連事業に携わっている就業者(たとえばLINEスタンプのようなアプリ内コンテンツ制作者など)も含まれている。
また、開発者以外でアプリビジネスに携わる就業者の業種に目を向けると、情報通信業は27%に留まり、サービス業(19%)、製造業(16%)、卸売業・小売業(10%)などの就業者も多い。ここから、「小売店の割引アプリ」「株式取引アプリ」「ホテルの宿泊予約アプリ」など、情報通信以外の産業でもアプリを活用したビジネスが活発化している状況がうかがえる。
ネットで検討→店舗で購入など、間接的な経済効果も大きく
ここまで述べてきたインターネット産業の直接的な経済効果のほかに、同レポートでは間接的な影響による経済効果についても幅広く評価している。
たとえば、家電製品や趣味用品、飲食といった分野では、実際の購買や消費は店頭であっても、インターネットを通じた情報収集が影響を与えているケースが多い。同レポートでは、こうした影響の規模を試算し、「27.4兆円もの消費にインターネットが関与している」と結論づけている。これは、家計支出の品目のうち、店舗などインターネット以外での消費活動の約22%に相当するという。
また、各産業の企業においてクラウドサービスの利用が進んでいることから、インターネットによる生産性向上の効果も期待される。同レポートでは、クラウドサービス未利用/利用企業の販売管理費(対売上高の比率)を比較し、9兆円の販売管理費圧縮効果につながっていると試算している。