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2015年の転換期、メーカーはパソコン市場をこう考えている 第5回

1億台突破のThinkPad、2015年は難しさもある年

2015年02月28日 12時00分更新

文● 小林 久、構成●ASCII.jp

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2015年は2つのCPUアップグレードがある難しい年

── 2015年最初のモデルチェンジの目玉は、やはりThinkPad X1 Carbonになるのでしょうか?

土居 はい。2015年の難しいところは、後半にSkylakeの登場が控えていることです。また、ThinkPadは、2013年のCS13で周辺機器も含めて設計を一新しました。そのため1月の新ラインアップでは、ThinkPad Helixを除き、基本的にHaswell世代の設計を受け継ぎつつ、CPUをリフレッシュしたモデルとなります。特に企業導入では頻繁なモデルチェンジは好ましくないため、周辺機器やオプションを含めた、ラインアップの継続性を考えていかなければなりません。

レノボは純正オプションの豊富さも特徴。写真は現在開発中のThinkPad Stack。

 ただしThinkPad X1 Carbonでは、Broadwell世代に向けて、パワーマネージメントのチューニングをかけていますし、セル数は同じでも、内蔵するバッテリー自体の容量を増やすことで駆動時間を増やす試みも加えています。

編註:CSはClean Sheetの略。2013年のモデルでThinkPadの設計を白紙から考え直したということ。2013年はインテルが第4世代Core i(コードネーム:Haswell)を投入したタイミング。

PCIeの効果は絶大、市場の声を聞いていきたい

── 第3世代のThinkPad X1 Carbonでは、SSDのインターフェースをPCIeに変え、データの読み書きをより高速にしています。これを他のシリーズにも拡大してほしいという声もあるのではないでしょうか?

土居 テストマーケティングな意味合いもあるため、PCIe接続のSSDを選べるのは、現在「ThinkPad X1 Carbon」と「ThinkPad Helix」の2機種に限定しています。理由のひとつは熱処理が大変であるためです。しかし実機を使っていただくと体験できると思いますが、PCIe接続のSSDの効果は絶大です。特にThinkPad X1 Carbonでは、デスクトップ並みのパフォーマンスを目指すという意味でチャレンジしました。

── 確かに体感できるほどの速さでした。

土居 ThinkPadの各モデルにはCRU=Customer Replaceable Unitという、どのパーツを交換可能とするかの基準が決められています。通常はバッテリー、HDD、メモリーといったパーツがこれに相当します。ThinkPad X1 Carbonのバッテリーは内蔵型ですし、メモリー増設もできなかいのですが、実は前の世代からストレージはCRUに対応しています。高価ではあるのですが、単品でもSSDを販売しているので、個人で入手して換装することも可能です。

── それはいいことを聞きました。予算で躊躇していた人が後から追加することも可能になるわけですね。

米沢生産も本格的に稼動、英語キーボードがほしい

── ThinkPad X1 CarbonのJapan Limited Editionを皮切りにNECPC米沢工場での国内生産も開始されました。反響はいかがでしょう?

土居 X1 CarbonのJapan Limited Editionは、おかげさまで完売の状況です。先行受付も、申込開始後24時間で、予定数(500台)に達しています。部材の関係でこの数になってしまいましたが、同等の構成を標準モデルで組んだ場合と比べても、手ごろな価格になっている点も受け入れられた理由だと思っています。

国内限定500台で登場したThinkPad X1 Carbon Japan Limited Edition

── 購入できた人は大変ラッキーだったということですね。

土居 標準モデルの米沢生産もX250、X1 Carbonを皮切りにスタートしていてオンラインショッピングで注文する際に米沢生産にするかどうかを選択ができます。予想以上に米沢生産を選んでいる方が多いですね。価格の違いがなければ米沢生産モデルを選びたいと考える方が多いようです。

 同時にお客様から要望もいただいています。たとえば英語キーボードを選びたいといったものですが、随時改善し、CTOで選べる項目も増やしていく予定です。ThinkPadシリーズでは通常2割強と、英語キーボードの選択率が高いのです。

── 納期の短縮が米沢生産モデルを投入する目的だと思います。最短5営業日とのことですが、価格もそのぶん割高になるのでしょうか?

土居 これはどちらとも言えませんね。部材の調達状況などを含めて価格が決まるので、発注時期によっては、海外生産モデルのほうが高くなる可能性もあります。

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