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Bluetooth経由でスマホのスピーカーにもなるほぼ100万円のピアノ

ピアノを超えた表現力持つ、ヤマハの“トランスアコースティックピアノ”

2015年02月24日 22時08分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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トランスアコースティック ピアノ(YU11SHTA)

 ヤマハは2月24日、一般的なアップライトピアノでありながら、音量調節や音色を変えた演奏もできる新製品“トランスアコースティック ピアノ”「YU11SHTA」を発表した。3月20日に発売する。

 ヤマハは、サイレントピアノという、ヘッドフォン出力と消音機能のついたピアノを販売中。ピアノは鍵盤を押すと、内部のハンマーが動き、これが弦(ピアノ線)を叩いて音が出る。サイレントピアノでは、このハンマーと弦の間に“ハンマーシャンクストッパー”という機構を入れており、ハンマーが弦を叩く寸前で動きを止める仕組みを持っている。

海外では先行してグランドピアノタイプも販売されているが、国内ではまずアップライト型のみを市場投入する。

左下のつまみで、音色や音量を調整することが可能だ。

 サイレントピアノでは、ヘッドフォン使用時には、光学センサーでキーの動きを捉え、打鍵の強弱や戻りなど演奏の微妙なニュアンスを再現する。一方、トランスアコースティック ピアノもこれに近い仕組みを使って、ヘッドフォンを使った消音演奏や音量調整が可能となっている。

 違いとしてはトランスデューサーを持つこと。打鍵情報をMIDI信号として捕らえ、これを電気的な信号に変換。ピアノの響板に取り付けられたトランスデューサーを振動させて、音を出す。ハンマーで直接弦を叩くわけではないが、その振動は駒や弦にも伝わるため、ピアノ特有の複雑な響きが再現できる。スピーカーから音を出す、電子ピアノにはない響きや広がりを持った音になるわけだ。

電子音の信号を振動に変えるトランスデューサー

 トランスデューサーの開発に当たっては3つの課題があった。第1に響板の振動を妨げない動作の仕組み、第2に環境変化が起きても狂わない連結構造、第3に個体差を吸収できるイコライザーの自動補正機能だ。

 (弦がハンマーを叩く)通常の演奏ではアコースティックピアノと同様に響板からの自然な振動を体感しながら演奏でき、音量を調節すれば「サイレントピアノ」と同様にヘッドフォンを装着してた練習もできる。

 本体には19種類の音色が搭載されており電子ピアノのようにさまざまな音色を楽しめるほか、アコースティックピアノ本来の音と電子音源の発音を重ね合わせるレイヤーモードも装備。さらにBluetooth(別途外付けのBluetoothアダプターが必要)や有線でスマホやミュージックプレーヤーと接続。ピアノをスピーカーの代わりにすることもできる。

発表会では、ピアニストで作曲も手がける、ただすけさんが登壇。実際にデモしながら、トランスアコースティックピアノの魅力を語った。

実演しながら、機能を紹介してくれた。

 発表会では、ピアノ演奏中に音色を自在に変えたり、タブレット画面に楽譜を表示しながら、そのタブレットで再生中の音楽と一緒にピアノ演奏をを楽しむといったデモもあった。

 ベースとなるアップライトピアノは「YU11」(69万1200円)。88鍵盤、ダンパー/消音/ソフトペダルを装備。本体サイズは幅153×奥行き61×高さ121cm、重量242kg。価格は105万8400円。初年度の生産は年間500台。

スマートフォンなどとのBluetooth接続には、Bluetoothアダプターの追加が必要であるため、本文を修正しました。(2015年2月27日)

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