myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第43回
ボカロ・東方・艦これと女性人気と
第14回MMD杯と多様化するMikuMikuDanceの現在
2015年02月26日 18時00分更新
第14回MMD杯の告知動画。 |
ニコニコ動画有数の動画投稿イベント MMD杯
MMDを代表するイベントである「MMD杯」は2008年から開催されており、現在第14回本選が開催中。3月2日までマイリスト登録による投票期間となっています。
今回も大変注目されており、2月14日(投稿開始日翌日)の「第14回MMD杯本選」タグの検索回数は41万2000回以上。これは2014年に最も検索されていた「第13回MMD杯本選」を超える数字となります(参考:第40回)。
「第14回MMD杯本選」タグの動画は現在891動画(新検索β使用のため海外タグは含まない)。一部釣りタグなども含まれ、公式でのMMD杯エントリーは886作品です(執筆時点)。前回第13回は864作品、前年同時期の第12回は762作品と、劇的な増加ではないものの以前よりも参加作品が増えているようです。
MMD動画はもともと再生数が高くなりやすいですが、MMD杯の動画は毎回それに増して高い再生数となります。
グラフ3は2月18日時点での「第14回MMD杯本選」タグの動画と2月に投稿された「MikuMikuDance」タグの動画の再生数をパーセンタイル(値の順に並べて何%の位置の値かを示したもの。今回は1%刻みでグラフにしている。中央値が50パーセンタイル)で比較したものです。グラフ下が「MikuMikuDance」、上が「第14回MMD杯本選」です。
いずれのパーセンタイルでもMMD杯動画が倍以上となっています。上位に関しては工作など不自然なところもありますが、全体的によく再生されています。
MMD杯動画は投稿から最大4日間の期間の値にも関わらず、4分の3以上が1000再生以上されています。これはこの短い期間の再生数としては非常に高いです。
こうした人気のMMD杯動画ですが、実は投稿の内容はMMD全体とは少し違います。
グラフ4は、左に今回のMMD杯本選動画で多かった作品に関するタグ(同様の作品・キャラクターを示すタグは最上位のみ)の比率を、右にMMD杯本選以外の2015年に投稿されたMikuMikuDanceタグの動画での同様の比率を、それぞれ示したものです。
MMD杯では「VOCALOID」タグの動画が非常に多いようです。次いで艦これ・東方・アイドルマスターなどが上位に上がり、全体では非常に投稿数の多いヘタリアやジョジョなどはあまり投稿されていません。
「VOCALOID」「東方」「アイドルマスター」はMMD杯で倍増、「MMD艦これ」は全体とあまり比率が変わりません。一方で「APヘタリアMMD」など女性人気の高い作品のタグは劇的に比率が少なくなります。
もちろんヘタリアやジョジョのMMD動画もMMD杯には参加してるのですが(刀剣乱舞も今回ありました)、全体での投稿規模を考えると非常に少ないです。
今回、「声」「未来」など「VOCALOID」と相性の良いテーマが設定されていたせいもありますし、「VOCALOID」がカテゴリタグである影響もありますが、作品によってMMD杯と相性の良いものがあるようです。
印象として、女性のMMD投稿者はあまりMMD杯には参加しない傾向があるのかもしれません。近年MMDでは女性投稿者が急激に増加し、すでに3分の1が女性投稿者となっていると見込まれる状況を考えると、MMD全体におけるMMD杯の位置は少しずつ変わってきているのかもしれません。
今回のMMD杯でもすでに素晴らしい作品がいくつも投稿されています。今回はどんな作品が受賞するのでしょうか。まだまだマイリストで投票できます。あなたも是非参加してはいかがでしょうか。きっと面白い作品にめぐり合えると思います。
ボカロから一本。れをる作詞・ギガP作曲のミクオリジナル曲「ヒビカセ」のPV。既存のダンスモーションを使用し、高クオリティなPVに仕上げている。 |
艦これから一本。艦これでは海上戦を描く動画などさまざまなものが投稿されているが、こちらはキャラクターのみ艦これを使いつつタイトルどおり浅田次郎の「鉄道員(ぽっぽや)」をモチーフにした作品。雪の中を行く列車の様子が非常に風情がある。 |
東方から一本。YouTubeなどでよく投稿されているPharrell WiilliamsのHappyの曲に合わせて踊る動画を東方Project関連のMMDモデルを使って再現。ところどころMMDや踊ってみたで定番のダンスが使われていて楽しめる。 |
ヘタリアからも一本。れおる作詞・ギガP作曲のリンレンオリジナル曲「おこちゃま戦争」(歌はkradness&れをるの歌ってみたバージョン)にフランス・イングランドの百年戦争をからめて描いた作品。国家を擬人化して歴史を描くというAxisPowersヘタリアの基本に忠実な良作。 |
(次ページでは、「MMD杯と刀剣乱舞が急上昇――ニコ動人気タグトレンド」)

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