
VAIOは、第5世代Intel Coreプロセッサー(Broadwell-U)を搭載する新「VAIO Z」(VJZ13A1)を発表した。今回の発表に関して、テクノロジー分野に詳しいフリーランスジャーナリストの本田雅一氏にコメントをいただいたのでご紹介する。
性能だけがVAIOの価値ではない

本田雅一氏
新VAIOには、さまざまな開発の苦労話、優れたスペックなど既存のパソコン評価基準に照らし合わせ、素晴らしい部分がたくさんある。しかし、それらはいったん、頭の中から取り払い、可能ならば展示店舗に足を運んで“新しいVAIOとは何か”を感じて欲しい。確かにスペック・性能は重要だが、それだけが新VAIOの価値ではないと僕自身が感じたからだ。
たとえばVAIO Z Canvas。クラムシェル型のVAIO Zの方が、より高性能なプロセッサを搭載しやすそうなのに、VAIO Z Canvasに4コアなのか?それはクリエイターの創作を邪魔する応答遅れを徹底的に排除するためだ。ペン入力にまつわる工夫も同じ。“より良いフィーリング”を出すための道具として、他のタブレットでは得られない価値を提供するための特別なモデルとして、VAIO Z Canvasはある。ならば、それ以上の技術要件について批評するのは無粋な話だ。
これはVAIO Zも同じこと。どんな用途にも柔軟に適応する、幅広いオーナーに対応する製品だが、あらゆる部分で自然に違いを感じられるよう、さり気ない工夫が盛り込まれているいる。ディスプレイの質、キーボードの打鍵感や音質、トラックパッドの操作感。あらゆる部分え気持ちよく使える。スペックだけを聞けば、無駄に見えるほどの長時間駆動可能なバッテリ容量も、同クラスではワンランク上のプロセッサを採用したことも、また応答性を高めるために内蔵SSDの速度にこだわったのも、あらゆる“高スペック”が使用者の満足感、感覚性能を高めるために使われている。
“0.3秒でスリープモードから復帰”を訴求するVAIO Zだが、数字そのものに意味があるわけではない。道具としては使いたい時にすぐに使え、必要な時にシステムが応答する。そんなユーザーにとっての当たり前が、本当に当たり前に機能するようになると、そうではない製品へとは戻れなくなるだろう。
“こうあってほしい”、“こうあるべき”。そんなことを当たり前にこなしているところが、新VAIOのすばらしさだと思う。
本田雅一(ほんだ まさかず)
フリーランスジャーナリスト、コラムニスト。IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、モバイル、ネットワークサービス、インターネットカルチャーなど、テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフ、それらの関連技術、企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーする。