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植物工場の価格破壊に挑むパナソニック - 「アグリ・エンジニアリング事業」

2015年02月13日 07時00分更新

文● 大河原克行

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最初は、どこまでできるのか疑問があった

 有機農産物を生産する埼玉県川越市の産直グループこだわり村では、パッシブハウス型農業プラントを導入して2シーズン目に入っている。

埼玉県川越市のこだわり村の農場

こだわり村のパッシブハウス型農業プラント

 森下法光社長は、「ほうれん草は夏場の収穫が難しく、年間での安定供給を行う周年契約ができなかったが、パッシブハウス型農業プラントを導入して、初めて夏場でも安定した収穫が可能になり、周年契約が可能になった」と語る。

産直グループこだわり村の森下法光社長

 川越市でも、ほうれん草の収穫は夏場にはもはや行えない状況にあったというが、パッシブハウス型農業プラントの導入でこの課題を解決した。消費地で近い場所で、ほうれん草を夏場に収穫できることは大きなメリットがある。

 生産を担当している、こだわり環境の森下登志夫社長は、「最初は、どこまでできるのか疑問もあったが、昨年の実績で7.5回の収穫ができた。しかも、省人化においても効果が大きく、天候にあわせてカーテンを開けたり、閉めたりといった作業を行わずにすむことは、まわりの農家からも高い関心を集めている。ハウス内は、週に3回程度見に来ればすむ。虫による被害も、カメラを遠隔から操作すればスマートフォンなどで確認できる」とする。

こだわり環境の森下登志夫社長

夏場は天井が開くことになる

畑の中に埋められた温度、湿度センサー。設置は最適な場所をシミュレーションで導き出す

パッシブハウス型農業プラントの横に設置された外気温、湿度などを測るセンサー

スマートフォンでパッシブハウス型農業プラントの現場の様子を確認できる

農家の栽培ノウハウも反映

 葉と根を短くしてほしいといった売り先の要望に応じたほうれん草づくりのためにも細かい温度、湿度設定を行うことができ、そこには農家の栽培ノウハウが反映されているという。

 森下登志夫社長は、「播種、育苗、成長、収穫という4ステージの設定の切り替えタイミングだけを行えば、あとはほとんど手間がかからない」とする。そして、「今後の農業を考えると省人化は大きなテーマ。人手による作業や手間がかからないハウスを導入することで、農業を変えられる」とする。

 パッシブハウス型農業プラントは、農業の姿を変えるきっかけになりそうだ。


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