富士通研究所は2月10日、都市におけるゲリラ豪雨などによる被害軽減に向け、下水道氾濫の兆候を低コストに検知する技術の開発を発表した。
下水道の水位を調べる際など、水位計測機能を備えたセンサーをマンホールに組み込んで兆候を精度良く検知するためには、広域にわたってセンサーを設置する必要がある。だが、回線や電源などの専用施設や無線接続のセンサーなどで電池交換が必要な場合もあり、1台当りの運用コストが高く、広域への設置が困難だった。
富士通研究所が開発したのは、地形や下水道管路の形状・距離によって生じる、上流から下流までの所要流水時間の分析から、センサーを組み込むべきマンホールの位置と数を決定する技術。これにより、約5分の1のセンサー数で、下水道全体の流れを把握・予測することが可能になったという。
さらに、測定水位の変化状況を考慮して、測定パラメーターを最適に制御する技術も開発。状況に応じた測定精度を維持しながら、消費電力を約70%削減できるという。センサーを、太陽光発電のような自然エネルギーのみで動作させることが可能となり、1台あたりの運用コストを従来の約90%削減した。これらの技術を適用することで、都市における下水道氾濫被害の軽減につなげたいという。