WindowsのOEMビジネス動向と、ライセンスの無償化の影響
ひとつ興味深いのが、WindowsのOEMビジネスの動向だ。
今回の第2四半期の発表では、Windows ProのOEMの売上高が前年同期比13%減となったのに加え、Windows Pro以外のOEMも13%減という前年割れの結果になっている。
ここには、Windows XPのサポート終了後の反動によるPCの販売台数の減少といった要素もみられるが、それに加えて、マイクロソフトが打ち出した9型以下のデバイスに対するライセンスの無償化、教育分野向け製品への特別ライセンス、あるいはBing搭載Windowsの無償提供といった施策の影響が見逃せない。モバイルファースト戦略を加速する上で、タブレット市場でのシェア拡大は避けては通れない。その切り札ともなるのがこれら無償ライセンスプログラムである。この施策が今後、Windowsのビジネスにどんな影響を及ぼすことになるのか。そのひとつの方向性が見えたのが、この第2四半期の動きだったといえそうだ。
好調な「Surface」 - 「Surface Pro 3」投入でようやく安定化
その一方で、好調なのが、マイクロソフトブランドのタブレットPC「Surface」だ。
第1世代のSurfaceでは、Surface RTの過剰在庫に悩まされ、大幅値下げなどの結果、9億ドルの評価損を計上。さらに第2世代のSurfaceでは慎重な生産計画が裏目に出て、一転して品薄に陥るという事態を招いたが、第3世代「Surface Pro 3」の投入で、ようやくSurface事業が安定してきた。
第2四半期のSurfaceの売上高は前年同期比24%増の11億ドルとなり、第1四半期の9億800万ドルも上回った。Surfaceビジネスは、単独でも黒字化している模様で、ハードウェアメーカーとしてのマイクロソフトのビジネスモデルがいよいよ確立されたといってもいいだろう。
増収増益となり、アナリストの予想を上回った決算内容となった2015年度第2四半期の米マイクロソフトの決算だが、その中身には大きな変化がみられている。マイクロソフトの変革を浮き彫りにする内容だったといえるだろう。
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