第51回 編集者の眼

VAIO株式会社が成功すれば日本の製造業は救われる

文●中野克平/Web Professional編集部

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「内気で営業に向いていないとか、偉そうな態度で渉外に向かない人間を宣伝部門に回している」とは、ある大企業幹部から聞いた人事政策の一端だ。新卒一括採用、長期雇用が前提の賃金カーブにおいて、雇ってみたものの使い物にならなかった「人材の墓場」にこの会社が宣伝部門を選んでいるのは「お金を払う側なので失敗しても大事に至らないし、本人が仕事をしなくても代理店などの発注先が何とかしてくれる」からだという。現実世界の島耕作は出世コースから外れているわけだ。

 ここまであからさまなのは例外としても、会社の成長が日本経済の成長と重なっていると、作れば作っただけ売れた、という中味のない成功体験が身に付いた事業が会社の屋台骨になる。フル操業で会社の利益に貢献した製造部門や気合いと根性で売上を伸ばした営業部門に数々の武勇伝が生まれ、工場から出てきた試作品に、女性向けに売りたいからピンクを追加して欲しいと頼んだだけのマーケティング部門には予算も権限も有望な社員も割り当てられない

 一方、日本企業に高機能、低価格な商品をぶつけられて屋台骨をひっくり返されたのが欧米企業だ。研究開発やデザインに特化して高級路線、専門性を高めたり、安全性を追求したりするなど、気合いと根性の日本企業が真似できない路線に賭けて生き残った。最近は騒音の大きな高出力モーター採用の「サイクロン掃除機」、電熱器にファンを付けた「ノンフライヤー調理器」といった高額商品を次々と送り出され、生活家電の領域でも巻き返されている。両者の違いは、すでに見えているマーケットに最大公約数的機能の商品を投入するだけか、どんな機能をどんなデザインで包み込めば新たにマーケットを作り出せるかの発想の違いだと多くの人が指摘している通りだ。

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My new canister vacuum Dyson DC46.

 ここでVAIO株式会社に注目する。企業の事業プロセスを大ざっぱに研究、設計、製造、販売、アフターサービスの5つに分けるとして、ソニーから切り離されたVAIO株式会社には、製造と販売機能がほぼない。ソニー時代から大半のVAIOは中国の委託工場で製造されており、長野県安曇野市にある「本社工場」はパイロットラインの性格が強いという。量販店でVAIOを見かけなくなったのは受注生産方式のため店頭在庫がないからだ。新宿駅西口のヨドバシカメラなど、国内6店舗では実機が展示されるが、注文はできても持ち帰れない。

 VAIO株式会社の主な仕事は研究、設計、アフターサービスになるはずだ。宣伝活動は店頭からデジタルに移り、個人向けに出荷したPCは、オーナーの住所と名前がほぼ全台紐付けられる。宣伝から顧客管理、買い換えまでのプロセスはいや応なくデジタル化する。デジタルマーケティングが会社を貫く司令塔にならざるを得ないだろう。

 こうなると、カスタマージャーニーやDMP、マーケティングオートメーションといったバズワードが、一気に自分の仕事に関係のある言葉として現実味を帯びてくる。顧客と企業の接点がほぼデジタル化するのだから、データを頼りに製品企画を考え、マーケティング施策を検討することが会社の本流になる。VAIOがうまくいけば、多くの日本企業が雪崩を打ってデジタルマーケティングに本気で取り組むだろう。

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The Art of Social Media

 というわけで、ロフトワークのマーケティング担当・渡部さんに依頼された「loftwork Webmaster Camp -2015 Web Trends」のメディア協賛コラムを書き終えることにする。2015年のWebトレンドをテーマに、花王の本間 充氏、東映の松本拓也氏、良品計画の奥谷孝司氏など、デジタルマーケティングの最前線で活躍する講師陣と過ごす5時間40分はきっと濃厚だろう。

なお、本コラムではロフトワークのイベントを取りあげることが多いですが、他の会社さんのイベント紹介も致しますので、ネタをください。

loftwork Webmaster Camp -2015 Web Trends -

日時
2015年2月26日(木)14:00 - 19:40(13:30開場・受付開始)
会場
東京都渋谷区東3-16-6 リキッドルーム2F Time Out Café & Diner
参加費
8,000円 ドリンク、懇親会費込み(Peatix 事前支払)
定員
60名
主催
株式会社ロフトワーク

内容

14:00~
Opening
14:10
Web Trends 2015 (ロフトワーク 諏訪 光洋)
14:40
Talk #1 Web × クリエイティブ (トリプルセブン・インタラクティブ 福田 敏也氏)
15:10
Talk #2 Web × エクスペリエンス (ロフトワーク Aki Kawana)
15:30
Talk #3 Web × アーキテクチャ(ロフトワーク 入谷 聡)
16:10
Pitch Talk ー Fishbowl
16:40
Case Study #1 コンバージョンを高める設計 (オムロン フィールドエンジニアリング 越智 大三氏/ロフトワーク 実本 慶子)
17:10
Case Study #2 メディアとしてのWeb再構築 (東映 松本 拓也氏/ロフトワーク 濱田 真一)
17:50
Panel Discussion (花王 本間 充氏、良品計画 奥谷 孝司氏、日立システムズ 鹿島 泰介氏)
18:30
Closing Talk(ロフトワーク 矢橋 友宏)


※詳細は、ロフトワークのセミナー案内ページで。

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