ビデオカードの性能をフルに活かせるG-Dock
ではGS30 2M Shadowの肝ともいえるドックをチェックしてみよう。ドックの大きさは幅364.4×高さ209×奥行き197.7mmと、本体よりもやや幅広の作りで、一見すると大型の外付けスピーカーにも見える。
天井部分に可動式のトレーがあり、これに本体を載せてレバーを動かすことで、本体後部に隠されたコネクターとドック本体がPCI Express 3.0で直結される。
内部スロットはPCI Express x16接続(帯域は256GT/sec)なので、構造的にはデスクトップPCがビデオカードと接続するのと何ら変わらない、というのがGS30 2M Shadow最大の売りだ。
デルのGraphics AmplifierはPCI Express 2.0 x4(帯域は40GT/sec)接続であることを考えれば、どちらがビデオカードの性能を極限まで引き出しやすいかは自明だろう。
さらにこのドックはCPUのPCI Expressを単に引き込んでいるだけでなく、チップセット側の信号線も引き込んでいるため、ビデオカード以外の拡張もできるという点がおもしろい。
ドック使用時はUSB 3.0×4基にギガビットイーサ(Killer LAN)1基、ヘッドフォン/マイク端子が追加されるほか、本体内蔵スピーカーのかわりにドック前面に内蔵された2.1chスピーカーで大迫力のサウンドも楽しめるようになる。
ダメ押しにドック内シャドウベイにSATAのHDDやSSDを追加(別売)可能など、薄型ノートの弱点を根本的に補うデバイスなのだ。このSATAもASMediaなどのオンボードチップを使わず、チップセットのものをそのままドック内に引き込んでいるので、性能に関しても申し分ない。
ドックに格納可能なビデオカードは、ブラケット部分が2スロット厚のものであれば、クーラー部分が3スロット厚でも問題なく収容できる。横幅も十分確保されているため、長さ310mmクラスの大型カードでも問題ない。
ドックには450WのSFX電源が内蔵されており、8ピン×2系統の外部電源が用意されているため、GeForce GTX 980はもちろん、Radeon R9 290Xクラスであっても安心して動かせる。ちなみに合体時はドック側の電源ユニットから本体へ電源が供給されるため、配線をあれこれつなぎかえる手間は不要だ。
ただしドックと合体する際は内蔵GPUと本体のフルHD液晶はシステムから完全に切り離されてしまうため、別途液晶ディスプレーが必須になる。
おのずと液晶とキーボード&マウスをドックに常時接続しておき、帰宅したらドックと合体させてガッツリゲームで遊ぶ、という運用になるはずだ。
この点はノートPC本体の液晶へビデオカードの出力を戻せるデルのGraphics Amplifierの方が優れているが、そのためにはOptimusのようにビデオカード側のフレームバッファを本体側に転送する仕組みを設けなければならない。
その分余分なコストがかかるうえ、性能上のボトルネックを引き起こす可能性もある。GS30 2M Shadowの仕様はやや不便ではあるが、実に理にかなっている。
→次のページヘ続く (ドックにビデオカードを差してベンチマーク開始)