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世界最大の楽器展で出た注目製品をピックアップ

モーグもコルグもシンセ復刻! NAMMショーのトレンドに迫る

2015年02月01日 12時00分更新

文● 四本淑三

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1万円で買えるステップシーケンサー「SQ-1」

 このMS-20M kitにセットされているステップ・シーケンサー「SQ-1」も、Hz/V、V/Oct両対応。2×8ステップで、チェーンにすれば16ステップのシーケンスが組めます。

 SQ-1は単体でも売られており、お値段は税込みで1万800円と大変お求めやすく、これだけ何個も買ってしまう人が出そうです。と申しますか、私は欲しい。

SQ-1

 アナログのステップシーケンサーは、ノブを回して各ステップごとに音程を決めるわけで、音符ごとに微妙なチューニングをやるのと同じ。よって設定が難しい上に狂いも生じやすい。

 そうした操作はSQ-1も同じですし、出力する信号もアナログのCVですが、中身はデジタルのようです。微妙な設定が必要なノブも、必要に応じてその値にグリッドをかけ、メジャー、マイナー、クロマチックといった、ビシッと決まった音程が出せるようになっています。実に便利。

 もちろんCV信号は、音程だけでなくフィルターの開度やその他、シンセサイザーの各パラメーターを自由に動かすことができますから、MS-20のようなパッチング式音源と組み合わせると最大限にそのメリットを生かせるわけです。

 またSQ-1はCV信号以外に、MIDI OUT、USB MIDI、littleBits OUT、volcaやelectribeに対応するAudio Syncといった入出力端子を持っています。MS-20向けのステップ・シーケンサーなら、往年のSQ-10のようにデザインを揃えても良かったんじゃないかと思いましたが、volcaやlittleBitsと一緒に使うことを考えると、このサイズが妥当なのでしょう。ちなみにSQ-1は単3形電池2本、あるいはUSBバスパワーで動きます。

往年のアナログ式ステップシーケンサー「SQ-10」

ところで復刻ばかりで良いのですか?

 一度死に絶えたかに見えたアナログ・シンセサイザーも、その技術をアマチュアのビルダーやガレージメーカーが守り続け、またコルグもmonotronのような小型製品からステップアップして、ここまでたどり着いたわけです。

 アナログ・シンセサイザーが文化として回復し、それが定着するのは大歓迎で、ピアノやバイオリンのような普遍的な楽器として、人類の音響資源として、これからも受け継がれていかなければなりません。

 しかし、いったい今は何世紀なのだ?

 というクエスチョンマークがNAMMショーの期間中、いくつも並び続けたことも正直に告白しなければなりません。復刻ばかりでいいのか。この技術を踏まえて先に進まなければ未来はないのではないか。

 などと思っていたら、周回遅れてやってきたあのメーカーのウワサの製品がついに登場! そして予想の遥か斜め後方から突如現れた正体不明の板が!

 続きは次回で!



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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