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スマホで始める「音楽アプリ部」 第68回

シンセアプリには珍しいマルチプレイにも対応

PD音源をアプリで! カシオのシンセ「CZ」が80年代っぽい

2015年01月31日 12時00分更新

文● 藤村亮

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マルチプレイができるモードを搭載

 画面最上段のMIXERボタンを押すと、4トラックのミキサー画面に移行します。この画面では各トラックの音量やPAN(ステレオ定位)のバランス、エフェクターの掛かりの深さのセッティングや、SOLO/MUTEが行えます。

 後述するCONFIGでMIDIチャンネルの設定を変えれば、一度の演奏で4トラックすべてを同時に鳴らすこともできます。音作りをする際にはトラックがまとめて管理できるので便利です。

音色の切り替えやミックスバランスなどが簡単に把握できるシンプルなデザイン

 MULTI PLAYボタンを押すと、画面一面を最大4段のキーボードとして扱えるマルチプレイ画面に移行します。

 PLAY MODEの設定によって、単純な4段重ねはもちろん、対面に2対2や1対3のような配置もできるので、実用だけでなくゲーム感覚での連弾などに使ってみるのも楽しいと思います。このモードでも各段の鍵盤のサイズ変更や、画面最上段のツマミで各トラックの音量バランスを調整といったことができます。

このように鍵盤を増やし

配置を変えられます

iTunesデータの参照もできる

 AUDIOボタンを押すと、iPadのiTunesに保存されているトラックデータを読み込んで、バックで流せるオーディオプレイヤーが開きます。トラックデータの再生音量は少し控えめなので、キーボード側の音量は少し下げたほうがなじみが良くなるでしょう。

 CONFIG画面ではMIDIの設定と、音源を再生する際のステレオの広がり感の調整ができます。MIXER画面のところで少し触れたように、トラック1~4をすべて同じMIDIチャンネルに設定することで、4トラックの音源を同時に鳴らせるので、用途に合わせて自分なりのセッティングを探してみるとより扱いやすいです。

トラックデータを利用すれば、カラオケをバックに演奏したり、好きな楽曲のコードを拾うのにも使えます

外部のMIDIキーボードなどと接続する際もこのコンフィグで設定が必要になる場合があります

レトロながら現代的な音も作れるのが魅力

 CZシリーズに限らず、1980年代のシンセサイザーの実機を探すのはなかなかに大変です。また、いざ手に入れてもボタンの効きの劣化や鍵盤のレスポンスなどの面で、味のひとことでは済まないような扱いづらさを感じることもあります。ですが、アプリであればそういった心配は無縁。

 CZは独特のコントロールを持った、PD音源のサウンドを純粋に味わうことができます。PD音源では、一般的なADSRコントロールの音作りよりもコントロールできる項目が多く、もう一歩踏み込んだ音作りが可能になります。音の立ちあがりや、サステインの揺れにもこだわったマニアックな使い方にも向いているでしょう。現代のタッチレスポンスに優れたキーボードなどを接続して演奏してみると、作り込んだ音源をさらに活かせると思います。

 音源のキャラクターとしてはやはり1980年代らしい「角ばった」トーンが多く、現代においてもユニークな効果を生み出してくれそうなサウンドだと感じました。

 音源とは別に、鍵盤を増やすことによるマルチプレイモードが、他のアプリではありそうでなかった機能なので、実用一辺倒ではないポップさを感じ、個人的には好感が持てました。

  シーケンサーやリズムパッドコントローラーなどの機能はありません。ですが、ミキサーが用意されているあたりにも、マルチプレイモードを楽しんでもらおうという姿勢の表れなのかと思えてきます。

 自然にハイとローが削れたようなちょっとレトロなシンセサウンドは、現代的なレンジの広いクリアな音質に慣れた人にこそ試してほしいです。



藤村 亮(ふじむら りょう)

photo by Shin Kobayashi

 1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。

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