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2014年:テクノロジー業界で最悪の瞬間を振り返る

2015年01月31日 07時00分更新

文● Richard Procter via ReadWrite

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記録に残るべきヘマ、失敗、失策

今回はスタートを間違えたりや失敗に終わったものの、それが別に何かの発明のもととなったわけでもなかった活動やアイデアについて焦点を当ててみたい。

肝心なことは、それを繰り返さないためにも失敗から学ぶことだ。そういう意味で2014年で最も開いた口が塞がらなかった一連のストーリーを以下に挙げる。これを読んだあなたが同じような間違いをおかして、私達が記事を書くようなことにならないよう。

マイクロソフトのCEOが女性に出世するためのアドバイスをした

Satya Nadella Grace Hopper

エリートの男性役員が女性しかいない所で彼女たちにキャリアについてのアドバイスをした。何事もなく終わるはずだった。マイクロソフトのCEO、サトヤ・ナデラがGrace Hopper Celebration of Women in Computingにおいて、聴衆に対し「昇給とは求めるものではなく、組織が自分にいずれもたらしてくれると知り、そしてそうしてくれる信じることだ」と述べ、なぜならこれまでそれで上手く行ってきたからと付け加えた。

ナデラはTwitterで彼の発言の意図を明確にしようとしたがダメだった。

Satya Nadella(@satyanadella):「女性がどのように昇給を求めるべきかに対して、返答の内容は不明瞭だった。給与の額に差があるのは(性別という)バイアスによるものだという声を無くすためにも、IT業界は性差による給与の差を埋めなければならない」

人々はこの馬鹿げたアドバイスをみて騒ぎ出し、ナデラはメールで発言の撤回と謝罪をする旨を述べた。

ソニーの「ザ・インタビュー」が大騒動に発展

会社の社長同士が贈り物をしあったりするのかどうかは知らないが、もしするのであれば、そしてもし自分がソニーの経営者だったら、全員に「あなた方が我々でなくてよかったな、おめでとう!」と書いて送るだろう。

ハッカーが11月にソニーピクチャーズに的を絞って社のネットワークに侵入した。彼らが主張する所によれば、100TBほどのデータが流出したという。彼らはデータを小出し小出しにする事で、ストーリーの勢いと滑稽さは山が地滑りを起こすように増していった。

(流出した?)内部のメールによって、保有していた映画俳優や脚本、ディレクターに関する興味を引く情報が表沙汰になった。当然面子を潰されたソニーはあらゆる弁護士を雇って、あらゆる人々に「誰も何も見なかった」事にするよう働きかけた。こういった物語の全貌がある日突然人々の注目をあつめるこの様な流れは、ネットでよくみられるものだ。

ハッカーの話しに戻ろう。彼らはソニーが北朝鮮の指導者 金正恩の暗殺をテーマにした映画、「ザ・インタビュー」をリリースしたのに抗義したのだ。情報流出に加え、この映画を上映する映画館に対してテロ行為も厭わないという脅迫も行った。ここでポイントなのが、ソニーと大型映画館チェーンが映画の上映キャンセルについて互いに批難しあい始めた事だ。この事により大統領から後ろ指を指されることになっただけでなく、意欲のある独立系の映画館のオーナーたちが、この映画をクリスマスに合わせて上映にこぎつけた。

ソニーの苦難は更に続き、別のハッカーによってPlaystation Networkが面白半分でダウンさせられた。

これらは全て、3年前に同じような事があった会社が起こしたことであり、彼らの脆弱なセキュリティに対しての警鐘である。

この事であったプラスの面といえば、ソニーはこの騒動の映画化の話が出たとき、ゴーサインを出すことが出来ることではないだろうか。きっと「ザ・インタビュー」より面白いだろう。

Facebook Messengerを撃ち殺さないで

この夏、フェイスブックはMessengerをリリースすることにした。このアプリはフェイスブックのモバイルアプリに既に含まれてたメッセージング機能と同じようなものだが、これはメッセージングアプリとして独立したものだ。えらく便利なものだ...FBにとってはだが。

そしてフェイスブックはモバイルでメッセージングするとき、強制的にこのアプリを使わせるようにした。理由はなんであれ、フェイスブックの側からすれば理にかなっているかもしれないが、評判は良くなかった。ダウンロード数ではトップの一角を占めるにも関わらず、レビュー評価はいいものではなかった。強制的に使わされることにユーザーは苛立ち、低評価のレビューが殺到した。

2014年一番の在庫処分ジョーク

アマゾンはグーグル、アップル、フェイスブックに並ぶ企業であるが、映画「ターミネーター」シリーズのスカイネット(Skynet)ばりの、世界を滅ぼしうるロボットによる大災害を成し遂げてしまった。これ程の企業がFire Phoneで失敗したというのは実に驚くべきことだ。この携帯は最初、2年契約が199ドルで売り出された。9月、この価格は99セントにまで落ちる。これは赤字覚悟の大安売り(Fire sale)だし、買うべきだ、いや買うべきか?アマゾンのマーケッターはこの商品の名前(Fire Phone)を決める時、この事態を予測しておくべきだった。

ここまで値崩れしたのだが、誰も買おうとしない。まるでアマゾンが顧客第一を主張しながらも、どういうわけだかその顧客が残念なアプリストアや、必要でもない3D機能、アマゾンでの買い物を手早く行うためのスキャナーなどに関心がないことを予想できなかったようだ。アマゾンはこのせいで1.7億ドルの評価損を計上したが、Fire Phoneの在庫はまだ8300万ドル残っているようだ。あとはドローンでも使ってこれらを配って回るのだろうか?

客をある所から別の所まで連れていってないUberは全てをしくじった

街で客を運ぶ交通サービスとして、Uberは大成功した。しかし精神的な面からいうと、それほど成功したというわけではない。Uberの役員、エミル・ミシェルはテクノロジージャーナリストのサラ・レイシーに関する悪い噂をかき集めようとした。たとえ他のUberの役員がジャーナリストの乗車記録を見ていなかったとしても、これは嫌な気分にさせられる。同業他社のLyftから提供されたデータに基づく8月のレポートによれば、Uberの雇用者170名がLyftのドライバーに対して5000件以上の乱暴な運転を仕掛けて営業妨害をしてきたという。オーストラリアのシドニーで銃を持った者が人質事件を起こした時、Uberは真っ先に値段を吊り上げた。またUberのドライバーは誘拐で起訴され、乗客を強姦した件で告発された。またこの企業は世界中で監視官から敵対視されている。Uberは状況の巻き返しのために政治に関する情報屋、デイビッド・プラウを雇ったが、”時価の運賃”を発明したこの企業は、悪評のツケを払っているところだ。

トップ画像提供:Adriana Lee for ReadWrite, based on work by Steve Rainwater

Richard Procter
[原文]

 

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら

 

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