プロ機材より民生機のほうが音がいい面もある
── 機材に関しては、B&W 801×5、オンキヨー製のサブウーファーが2台、AVアンプが1台という環境ですね。DAW(音楽制作ソフト)を走らせるためのPowerMacが1台あって、PCの信号をAVアンプに流すためのAD/DAのインターフェース(PCのデジタル出力をAVアンプのアナログマルチ入力用に変換する機器)を経由しています。
阿部 「はい。ミックスの処理はすべてコンピューター内で実施して、インターフェースでアナログに変換して、AVアンプで鳴らす構成です」
── スタジオ機材との違いはどこにあると考えられますか?
阿部 「一番感じるのは、ワット数の大きさだとか、耐久性ですね。要するにプロ機では、いきなり高い音量の信号がきても故障しないなど信頼性や安全性の高さが要求されるます。だからアクシデントに強いと言えますね。民生機はこのあたりがシビアになる反面、細かくて小さい信号でもしっかりとした音が鳴るように設計されています」
── 考え方によっては民生機のほうがプロ機より音がいい可能性があるということでしょうか?
阿部 「僕はそう思っています。だから今後も民生機を、仕事の現場にどんどん入れていきたいと考えていますね」
── それはユーザーの立場から見ると驚きですね。
阿部 「そうですか……。でも考えてみれば、DAW(音楽制作ソフト)はプロのためだけの製品とは言えないですよね。価格は少し高めですが、プロ仕様のものをアマチュアの方でも使えますし、そしてその操作はアマチュアの方のほうがずっと速いということも多々あります」
── 動画共有サイトなどで活躍する個人の方もいますしね。
阿部 「そういう意味では垣根はどんどん取り払われていて、いいものが残るんだと思います。プロ機で言うと、H.A.(ヘッドアンプ)とかその手のものは特有ですし、マイクとか録音するための機材は必要だと思いますが……」
── スタジオのマイクなどは同じ機種がそれこそ何十年も使われている印象があります。一方で再生する環境に関しては今後も進化していくでしょうね。D/Aコンバーターなど信号処理をする機器や、DAWで扱えるデータ量の向上だったりとか。そして民生機が先行している面もある。
阿部 「本当にそうですよね。スピーカーが変わってきているかというとそうではないと思うんですが……」