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Microsoftが「Windows 10」で目指す世界

「Windows 10を好み、あえて選ぶ」ユーザーを増やすMicrosoft

2015年01月23日 18時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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Microsoftが新しいハードウェア分野に進出

 今回のイベントでの驚きは、ここでMicrosoftがWindows 10時代のまったく新しいハードウェア製品2機種を発表したことだ。ひとつ目は84型の巨大なディスプレーを持つPCで、マルチタッチやマルチペンを駆使してアプリの操作や板書が可能なホワイトボード型デバイスだ。ただ、会議室にあるような単なるホワイトボードとは異なり、通常のWindowsアプリが動作するため、さまざまな応用が可能だ。Skype通話にも対応し、内蔵のカメラとマイクを使って遠隔地との電話会議のほか、PowerPointのスライドやOffice文書を共有してのプレゼンテーションや会議も可能となっている。エンタープライズ向けの新しい業務提案といったところだろう。

84型の巨大なディスプレーを備える「Surface Hub」

マルチタッチやマルチペン入力に対応し、画面を分割しての複数アプリの同時起動や複数人による画面操作が可能。さらに複数のカメラとマイクも搭載しており、Skype経由での遠隔会議や、プレゼンテーションや資料を共有しての作業などが可能の企業向けインフォメーションボードとなっている

ヘッドマウント型の新デバイス「Microsoft HoloLens」

 そして、今回大きく取り上げられたのが「Microsoft HoloLens」というヘッドマウント型の透過ディスプレーを備えたAR・VR体験デバイスだ。利用者はこのデバイスを装着することで、現実に視界に見える風景にCGで描かれたオブジェクトや情報を重ね見ることが可能で、まさにAR(拡張現実)やVR(仮想現実)のような世界でハンドジェスチャーや音声入力によるさまざまな操作を行なえる。

「Microsoft HoloLens」の名称がついた、AR・VR機能をサポートする透過型のヘッドマウントディスプレー装置

コンセプト映像でもわかるように、現実の風景にオブジェクトやアプリが展開され、これをハンドジェスチャーや音声入力で操作できる

 デモでは、このデバイスを装着した人物が手の動作と音声入力のみでPCを操作したり、作業パレットを空間に広げてオリジナルのクァッドコプターを制作したりと、HoloLensの中で何が起こっているのかを知らない人には不思議な空間が広がっていた。最後に、ここで制作したクァッドコプターを3Dプリンタで(あらかじめ)出力し、同プロジェクトを担当するAlex Kipman氏が実際に会場で飛ばすというデモを行なって締めくくった。

HoloLensの操作風景。周囲からは何が起こっているかわからないため、専用のカメラで撮影した画像とCGを合成して、その状況を説明している。画面に現れたメニューや作業パレットを指や音声で選んでいき、クァッドコプターを組み上げているところ

完成したクァッドコプターは3Dプリンタで出力して、実際に飛行させてみる

「Windowsを好み、あえて選んでくれる」ユーザー

 イベントの最後には米Microsoft CEOのSatya Nadella氏が登壇し、総括を行なった。同氏が2014年のCEO就任時にうったえた「モバイルファースト、クラウドファースト」を軸にしたWindows戦略が結実しつつある現在において、Myerson氏が冒頭で説明した「15億」という既存ユーザーだけでなく、「Windowsを好み、あえて選んでくれる」ようユーザーにアピールしていくことが狙いだという。

米Microsoft CEOのSatya Nadella氏

 過去の互換性が現在のMicrosoftの最大の資産ではあるが、同時に発表会の最後で見せた新しい試みの数々にあるように、新しいユーザーや関心を集めることもまた重要なのだろう。


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