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ウェブは崩壊している、しかしアプリに責任はない

2015年01月30日 16時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

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責められるべきは開発者の怠惰さだが、改善することは可能だ。

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「ウェブ崩壊!」というのは、アプリをブギーマン(悪い子どもをさらう鬼)とみなす、おなじみのテーマとなっている。われわれはアプリの便利さに夢中で、携帯電話のウェブブラウザよりもアプリで遥かに多くの時間を費やしている。その影響は必ず現れるだろう。

ウォール・ストリート・ジャーナルのクリストファー・ミムズは次のように主張している。「何もかも利便性に支配されているというのは不吉なものです。インターネット企業はオープンであるがために、21世紀の最も強力かつ重要な企業の一部となっているのです」。

だが、アプリが登場するずっと前に、ウェブは数百万の開発者による、貧弱なプログラミングによって、打ち砕かれ、壊れていた。

言い換えれば、アプリは問題ではない。問題は開発者であるあなたなのだ。

ウェブ開発者はひどいものだ

仮にWebがまともであっても、われわれ開発者はアプリに引き寄せられただろうか?

HTTPアーカイブの予測では、2014年に15%膨張したWebページは、酷く重いCMSテンプレートやフレームワークによって、その接続速度が落ちている。これは2013年の32%増2012年の30%増よりましではあるが、それでも問題である。特により多くの人々が3GやLTE接続で携帯電話からWebにアクセスしていることを考えればなおさらだ。

クレイグ・バックラーが指摘する問題は、怠惰である。

われわれは、1つの簡単な言葉でこの問題を要約することができます。怠惰です。開発者として、私やあなたたちには責任があります。われわれはたくさんの言い訳をします。十分な時間がない、クライアントがこの方法でやるべきだと主張した、予算/スケジュールがきつすぎる、手抜きのシステムを引き継いだ、ツールを持っていない、などです

しかし、どのような言い訳をしても結果は同じだ。ウェブが遅くなれば、高性能のアプリケーションと競合するのに苦労を強いられるのだ。

しかし、怠惰だけが問題というわけでもない。Web開発者ディーン・バーカーが主張するように、無知も問題なのだ。

今日のウェブ開発者の多くは、彼らの仕事の基本であるプロトコルについて完全に無知です。 HTTPの重要部分を理解することが、ウェブ開発者の基本条件とならなければなりません

もちろん、そうとまでは言えない。開発志望者にとって参入障壁が低いこと、それはウェブの素晴らしい点の一つだからだ。白髪の開発者の友人が、「本当のプログラミング」でしっかりと基礎を学んでいない「Javascriptのサルども」の台頭を嘆くのを私は何度聞いたかわからない。それは「古きよき時代」に愚痴をこぼす不機嫌な老人のように聞こえるかもしれないが、その不満にはいくばくかの真実がある。

しかし、原因に関係なく、結果は同じだ。結果的に、開発者とエンドユーザーの間でウェブへの関心が先細りとなっているのだ。

グーグルによる助け舟

ウェブを壊れたまま惨めな姿にしておくのではなく、グーグルはウェブを改善する手段を提示している。完全に機能するウェブではいくら消費されるのかを考えれば(中国を除き、インターネットユーザー1人あたり年間6.30ドル)、グーグルの意図は理解できる。より多くのユーザーが喜んでウェブを使い、広告をクリックすれば、グーグルにより多くの金が落ちるのだ。

まず、グーグルは最高のウェブサイトにユーザーを導きたいと考えている。ますます多くの人々が携帯機器でインターネットにアクセスするので、「最高」とは「モバイルに最適化された」を意味する。

昨年末グーグルは、モバイルに最適化されたサイトにラベリングをするという概念を導入した。さらに興味深いことに、「われわれはまた、ランキングの指標として、モバイル・フレンドリーな基準を利用した実験を行っています」と言及してもいる。開発者がモバイル体験を改善する後押しをすることで、グーグルはアプリに対抗する、モバイル・ウェブの可能性を見出すのかもしれない。

つまりグーグルは、モバイルを重要視しているわけだ。グーグルはウェブアプリケーション全体に向けて、Googleクラウド・トレースのベータ版のリリースを発表した。それは、「時間のかかるリクエストのトレースを見つけ、リクエスト処理中にアプリケーションのどこが原因となっているか、その詳細なレポートを表示する。そうやって製品版のアプリケーションでパフォーマンスの問題を診断できる」ツールである。

これはグーグルのプロダクトマネージャー、プラトゥル・ダブリッシュが言及しているように、大きな影響を持つ。その理由を彼は以下のように述べている。

ロード時間が4秒以上かかると、ユーザーの25%がそのウェブページを見るのをやめアプリケーションのパフォーマンスが低下した後、ユーザーの86%がアプリを削除しています。開発中にパフォーマンス問題に苦慮する開発者たちに聞けば、根本原因を特定することは極めて困難であることがわかるでしょう。ごく一部のユーザーのみに対して反応が遅い場合は特にそうです

それは、Googleクラウドを差別化し、そこで開発することを奨励する上手いやり方であることは言うまでもない。そして偉大な最初の一歩でもあるのだ。

グーグルのような試みがさらに必要だ

グーグルだけが助け舟を出しているわけではない。アップルは一大アプリ勢力でありながら、ウェブにとって最も大きい擁護者の一つでもあるのは少々皮肉だ。私が書いたように、WKWebViewのリリースがウェブアプリのパフォーマンスを劇的に向上させることは確実と言えるからだ。

関連記事:HTML5に最適なのはグーグルではなく、アップルだ

われわれには、より多くのアップルとグーグルが必要だ。われわれは、ウェブを単なるアプリの代替物とするのではなく、望ましいものにしなければならない。そのためのツールを構築する企業や開発者がより必要とされているのだ。

上記に示したように、われわれは真剣に自分の仕事に取り組み、ウェブ・パフォーマンスを最優先事項として取り組むウェブ開発者を必要としている。それはあなたから始まるのだ。

トップ画像提供:Shutterstock

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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