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CPUコア/DRAMを前世代比50%増強した「ZFS Storage ZS4-4」を発売

“フラッシュからテープまで”のオラクル、ストレージ戦略は

2015年01月20日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは1月15日、「Oracle Database 12c」への対応を強化した統合ストレージの新製品「Oracle ZFS Storage ZS4-4」を提供開始した。同日の発表会では、オラクルの階層化ストレージ戦略や導入事例も明らかにされた。

「Oracle ZFS Storage ZS4-4」の本体(2コントローラーノード、ディスクノード)

3TB DRAM、120コアに増強、前世代比2倍のパフォーマンス

 新製品のZS4-4は、Oracle ZFS Storage Applianceの上位機種。コントローラのCPUコアは120コア、DRAMキャッシュは3TB(いずれも2ノードクラスタあたり)と、いずれも前世代モデル(ZS3-4)比で50%増強され、前世代比で2倍のパフォーマンスを提供するとしている。最大容量は3.5PB。

「Oracle ZFS Storage ZS4-4」の特徴

 大容量キャッシュDRAMの搭載に加えて、自動階層化機能によるデータの最適配置により、ZFS Storage Applianceではデータ処理の90%(オラクル調べ)がキャッシュ上で実行される。これにより、大量のデータをインメモリで、なおかつ効率的に処理できるアーキテクチャになっている。

ZFS Storage Applianceは、4つの階層(キャッシュDRAM/書き込みSSD/読み出しSSD/SASディスク)を持つ。導入顧客調査で、9割のデータ処理はキャッシュ上だけでまかなわれている

 さらに、ZS4-4ではOracle DB 12cに最適化された最新版OSを搭載している。Oracle DB 12cとメタデータをやり取りして自動的にチューニングを行う「Oracle Intelligent Storage Protocol(OISP)」、OISPと連携し複数のプラガブルDBごとにデータの入出力を集計/分析する「ZS Analytics」といった機能が提供される。

 ドライブ単位ではなく、ファイルシステム(LUN)単位での暗号化機能も新たに追加された。この暗号化機能ではZS4-4内部で暗号鍵を管理し、外部システム不要で動作する。

 Oracle ZFS Storage ZS4-4の最小構成価格(税抜)は、1308万8810円となっている。

オラクルの自動階層化ストレージ戦略と事例を紹介

 同日の発表会では、日本オラクルの宮坂美樹氏がフラッシュ/ディスク/テープを横断するオラクルの階層化ストレージ戦略について説明した。

日本オラクル システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏

 宮坂氏は、企業の保有データ量が爆発的に増える中で、効率的なストレージ導入のポイントは「いつも全部を使ってるわけじゃない、ということ」だと語る。IDCの調査によれば、日々生成される大量のデータのうち、8割は、90日が経過するとほとんどアクセスされる機会がなくなるという。

 「大量のデータが存在しても、よく利用されるデータはわずか上位3%から5%。よく使うデータは高速に、ほとんど使わないものはお金をかけずに、ストレージを効率的に管理することが大切」(宮坂氏)

 オラクルではZFS Storage Applianceのほか、フラッシュストレージの「Oracle FS1」(関連記事)やテープアーカイブの「StorageTek SL8500」、階層化ストレージ管理サーバーの「SAM-QFS」といった製品群をラインアップしており、データの利用用途に応じて最適なデータ配置を実現すると、宮坂氏は説明した。

オラクルの自動階層化ストレージ

 FS1やZFS Storage Applianceは、単体でもフラッシュ/ディスクの階層化を実現している。しかし、より大規模で長期間のデータアーカイブへのニーズから、テープアーカイブへの注目が再び高まっているという。放送/映像メディア、金融機関、研究機関などの顧客が中心だ。

 宮坂氏は、顧客に代わって大容量データを長期間保管することをビジネスとしているアーカイブビジネス事業者、再現性のない実験データなど一定期間の保管が必要なデータを取り扱う国内研究機関の事例を挙げ、運用の効率化、自動化を実現していると説明した。

国内研究機関の事例。研究室ごとに用意されていたストレージを統合、よく使うデータはFS1に、一定期間保存するデータはテープアーカイブに格納することで、消費電力を削減

 オラクルでは、Oracle DB専用のエンジニアドシステムから、費用対効果の高いZFS Storage、高速なFS1、長期保管に適した低コストなStorageTekまで、包括的なポートフォリオを提供している。『どこに何(のストレージ)が適しているか』も含めて提案ができる」(宮坂氏)。

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