16mmドライバーは着脱が面倒だが、低域の表現は他にないものに
口径の大きなドライバーを使えば、低音のよく出るイヤフォンが作れる。それが大口径ユニットを使うメリットです。しかし、通常インイヤー型に使われるのは直径13mm程度のユニットが上限のようです。
直径16mmのドライバーを使ったイヤフォンとしては「MDR-EX1000」などソニーの製品にいくつか存在しますが、いずれもドライバーユニットを直接耳に押しこむタイプではなく、カナル型のイヤーチップを介して装着するスタイルです。すなわちドライバーユニット自体は耳の外側にレイアウトされているわけです。
そうした設計になるのは、もちろん音響設計面での理由もあるのでしょうが、16mm口径のドライバーを単純なインイヤー型に使った場合、誰の耳にも収まる万人向きの製品にはならないというのも、大きな理由ではないかと思われます。
私はALPHA 1で、16mmダイナミックドライバーのインイヤー型というものを初めて経験しました。量感と歯切れの良さが共存した低域の表現は、ちょっと他にはないものだろうと感じましたし、ここはALPHA 1を選ぶ大きな理由になるでしょう。
ここは個人差が大きいはずですが、私がもっとも快適に使えたのは、付属のフィンやリングを装着しない裸の状態でした。フィンを使うと耳にはめこむような感じになり、ちょっとしたカナル型のように着脱が面倒に感じます。
(次ページでは、「開放型で聴くバランスド・アーマチュア」)