絵を描くようにループを作っても面白い
画面下部中央のウインドウ(「TENORI-ON」と表示されている部分)をタップすると、メニューが開きます。このメニューからはファンクションボタンよりもさらに込み入った部分の操作ができます。
直感的な操作性を売りにしているTENORI-ONだけに、特にメニュー部分で特別な設定をしなくても音は出せますし、ループを打ち込んでいくこともできます。さらに、ちょっと違うスケール(音階)を使って打ち込んでみたいとか、エフェクトのタイプを変えてみたい、というような突っ込んだ用途にも充分対応できる余地があるのもうれしいです。
オンラインマニュアルの内容が充実しているのもありがたいです。高性能で多機能なアプリでも使い方が分からなければ持ち腐れになってしまいますが、さすが日本のヤマハらしく、微に入り細にわたり丁寧な説明が用意されています。使いづらくて投げ出してしまう、というようなことはなさそうに思えます。
操作のカスタマイズもできます。例えばマトリクスボタンをもっと軽いタッチで打ち込めるようにしたい、もしくは逆にある程度長く押さない限り打ち込まれないようにしたい。そんな反応性も変更可能です。
パッと見てボタンしかないデザインには面食らう部分もありますが、どこでも触れば音が出るというシンプルさは初心者の方にもとっつきやすいでしょう。ループを走らせたときにパレットがピカピカ光るアニメーションがあり、これをどういう流れで光らせるか、というような視覚的なアプローチで打ち込んでいくのも楽しいです。
長く打ち込みを続けているとフレーズによっては一般的な白鍵と黒鍵が欲しくなることもあります。ですが、このインターフェースでこそ作れるラインのようなイメージを追ってみるのが正しいような気がしました。
レイヤーとブロックの数が一般的なシーケンサー顔負けの16×16もあるので、徹底的に作り込んでみたいという方にもオススメ。操作がとてもシンプルでレスポンスも良いので、リアルタイムにループのパーツを重ねて音数を増やしていくようなパフォーマンスにも扱いやすそうです。
ただ、アコースティックギターやピアノなどと組み合わせるリズムループとして使ってみることをイメージしてみると、生楽器寄りな音色も欲しいところかなと思いました。
とはいえ、EDMに特化した音源を搭載しているTNR-eでそれを言うのは無粋というもの。
基本が同じTNR-iの音源も気になりますが、他の音源アプリからインポートしてくることもできるようなので、簡単な操作を生かしていろいろな音源を試してみるのも面白そうです。
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。
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