つないだだけでデバイスを自動表示できるLANマップ
このうち個人的に一番大きなインパクトを感じるのは、やはりLANを見える化するLANマップが標準搭載されたことだ。RTX1200で導入されたスイッチの制御機能をルーターとシームレスに統合し、「LANの管理はルーターからやろう」と提案しているわけだ。

RTX1210とSWX2200-8PoEを結線。SWX2200-8PoEは無線LAN APのWL302を接続する
1990年代からネットワーク雑誌を担当していて、個人的に理不尽に感じていたのは、「ネットワークを見える化するにはお金がかかる」ということだ。企業には数多くのネットワーク機器があり、これらがどのように接続されているのか、どのように通信しているのかをきちんと把握するのは、ダイエットのために体重を量るのと同じくらい当たり前の作業だ。
しかし、従来ネットワークを見える化するには、法人向けのネットワーク機器とオプションのネットワーク管理ツールが必要だった。確かにGUIの管理ツールはネットワーク構成やトラフィックを表示できる優れたものだが、その分コストもかかる。もし、そのコストが払えないのであれば、コマンドラインのツールなどを駆使して、構成や障害の情報を手動で調べなければならない。つまり、コストをかけるか、スキルを得るしか手段はなかった。当然、コストもエンジニアもいないスモールビジネスに、見える化は土台無理な望みだったのだ。
これに対して、RTX1210がLAN内にあれば、接続されている対応スイッチや無線LAN APをツリービューで表示してくれる。実態とかけ離れたビジュアル化が行なわれるツールも多いが、RTX1210ではルーターを最上位に据えた階層構造で表示されるため、非常にわかりやすい。つないだスイッチや無線LAN APがRTX1210の一部として動作しているイメージで、LANごとまとめて設定・見える化できるのは大きい。
現在はL2スイッチの「SWX2200シリーズ」、無線LANアクセスポイント「WLX302」などが、RTX1210による設定・管理に対応しており、LANマップ機能をオンにすれば、接続しただけで自動的にツリービューに表示される。正直おまけの印象の強かったRTX1200のスイッチ制御機能に比べ、ビジュアルや操作性は大きく進化している。

初期状態はオフになっているLANマップ機能をオンにする
しかも、マップに表示されているアイコンをクリックすれば、SWX2200やWLX302の設定・保守まで直接行なえる。もとよりレイヤー2のスイッチはそれほど設定作業が必要ないデバイスだし、無線LAN APも最初に認証と利用する周波数帯、SSIDを指定するくらい。であれば、シリアルケーブルやTelnet経由で不慣れな設定作業をするより、ルーターからさらっと設定できたほうがよいに決まっている。
さらに面白いのが、ヤマハのSWX2200やWLX302だけではなく、その先につながっているPCやタブレットなどの端末まで見られるという点だ。現時点の接続状況を登録する「スナップショット機能」を使えば、新たな端末が検出や消失した場合に通知を出すことができる。管理者は不正とおぼしき端末をチェックしたり、端末や通信の障害にいち早く対応することが可能になる。現場のネットワーク運用を考えた機能の提案が素晴らしい。

ネットワークの接続状況を保存し、差分を比べられるスナップショット
意外となかった管理機能をスモールビジネスで使いやすく
使ってみれば、「なぜこんな便利な機能がなかったのだろう」と思うのだが、実はネットワーク管理機能がルーターに搭載されているのは珍しい。昨今のルーターは、思い切り低価格路線に進むか、セキュリティや仮想化対応など高付加価値系を突き進んでおり、ユーザーのニーズにきちんとマッチした製品は意外とないと思う。その点、ヤマハは「もはやLANの管理はルーターが担うもの」というスモールビジネスで価値の高い提案をしてきたわけで、その点は高く評価したい部分である。
おそらくヤマハはRTX1210の開発に際して、日本のスモールビジネスの利用状態をリサーチしたに違いない。「ルーターはLAN内に1台」「管理は非専任が1人だけ」「有線・無線の統合管理はニーズが高い」などの現場の声を集め、ユーザーの負担を極力減らす方向で作り上げたのがRTX1210と言える。個人的には他社スイッチや無線LAN APも管理できたらいいなとは思うが、それがなくともオールヤマハの組み合わせはきわめて魅力的だ。ぜひお試しいただきたい。

ルーターでLAN管理というヤマハの新しい提案をぜひお試しください!
(提供:ヤマハ)
