家電の展示会と自社の戦略に当初、違和感も持っていた
こうした動きが加速したのは、2013年のCESで、津賀社長が基調講演を行い、パナソニックの経営戦略を、BtoCから、BtoBへとシフトすることを明確に打ち出してからだ。
「CESはもともと家電イベント。パナソニックにとっては、CESというイベントへの出展に違和感が生まれ、CESから退場しなくてはならないかなと思っていた」としながら、「今年のCESを見ると、パナソニックブースの展示内容は、当初想像したほどの違和感がない」と語る。そして、「パナソニックブースは、昨年、今年と、BtoBに向けて展示内容を変えてきた。今年の展示は、私がイメージしていた姿にかなり近づいてきている」とも語る。
BtoBシフトを打ち出したパナソニックが、CESにおいて違和感がない理由は2つあるという。
「ひとつは、CESそのものが変化してきているという点。今年の基調講演のスピーチはフォードのCEOであるマーク・フィールズ氏であり、しかも大半の自動車メーカーがブースを構えている。もうひとつは、ハードウェア主体のショーから、ソフトウェア、コンテンツを含めたショーに拡大しているという点。つまり、CES全体がソリーションに向かっている」
シャープ、サムスン、LG電子も、パナソニックほどではないが、ソリューション展示を強化しているのは事実だ。東芝は今年、テレビの展示をやめ、思い切ってBtoBの展示一色にした。
「世の中の変化にあわせて、パナソニックも変化していることを実感している」
CESの会場を視察して、津賀社長はこう総括した。むしろ、BtoBシフトに先陣を切ったことに自信を深めているようだ。
2015年は失敗の速度を加速させる
一方、津賀社長は、2015年の事業方針について次のように語る。
「これまでの『事業構造改革による収益性の改善』から、2015年は『利益を伴った売上成長の実現』へと、挑戦の舞台を本格的に移していく。2015年は、成長に向けた『挑戦の第2幕』をスタートさせる年にしたい」と宣言した。
そのなかで、社員に向かって示した言葉のひとつが、「失敗のスピードを上げる」ということだ。
「私は、成功に向けた唯一の方策は、失敗した原因を突き詰めて、その課題の解決への取り組みを何度も回していくことだと思っている。失敗のない挑戦はない。失敗を恐れていては挑戦できない」と前置きしながら、「だが、失敗のスピードが遅いと、『失敗疲れ』をしてしまい、もう一度、失敗しようという気にならない。しかし、短期間に失敗すれば、もう一度失敗しても前に進もうという気持ちになる」とする。
そして、こうも語る。
「2014年度に、中期計画で掲げた営業利益目標を1年前倒しで達成することで、2015年は、失敗してもいい、思い切って新たな挑戦ができる、という猶予ができたとも言える。この心構えで勇気を持って、挑戦に次ぐ挑戦、前へ前へと進みたいと思っている」。
昨年までとは明らかにギアがチェンジしているようだ。
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