コマンドラインからモバイルブロードバンドの
デバイスや接続先の情報にアクセスする
ここまで2回に渡って紹介してきた(関連記事、関連記事)、Windows 8で3GやLTEを扱うためのモバイルブロードバンドネットワーク(MBN)は、netshコマンドからも制御ができる。netshでは、デバイスの情報や接続先の情報などをアクセス可能だ。
netshは、ネットワーク関連の設定をコマンドライン(コマンドプロンプトウィンドウ)から行なうものだ。netshコマンドには、「コンテキスト」と呼ばれるネットワーク機能に対応するキーワードがあり、これで設定対象を切り替える。
たとえば、無線LAN関係の設定は「wlan」、モバイルブロードバンドならば「mbn」を使う。各コンテキストでは、netshの標準コマンドとコンテキスト独自のコマンドが利用できる。主にコンテキスト独自のコマンドで各種の設定を行なう。
コンテキスト独自コマンドは、「サブコマンド」を持ち、これで設定対象を特定する。MBNの場合、下の表のようなコマンド(とサブコマンド)が利用できる。具体的な使い方は、「コマンド サブコマンド」の後スペースを1つ入れて「help」とすれば、コマンドのヘルプが表示される。
コマンド | サブコマンド | 機能 |
---|---|---|
add | profile | プロファイルXMLファイルを追加 |
connect | 接続 | |
delete | profile | プロファイルを削除 |
disconnect | 切断 | |
set | profileparameter | プロファイルのコストを設定 |
teacing | トレースの開始/終了 | |
show | capability | MBNデバイスの機能を表示 |
connection | 接続状態の表示 | |
homeprovider | ホームプロバイダ(契約事業者)を表示 | |
interfaces | インターフェース(MBNデバイス)を列挙 | |
pin | 暗証番号情報の表示 | |
pinlist | 暗証番号のリストの表示 | |
preferrendproviders | 優先プロバイダのリスト | |
profiles | プロファイルの表示 | |
provisionedcontext | コンテキスト情報の表示 | |
radio | ラジオ状態の表示 | |
readyinfo | 準備状況(サブスクライバーIDの表示) | |
signal | 電波状態の表示 | |
smsconfig | SMS情報の表示 | |
tracing | トレース状態の表示 | |
visibleproviders | 表示可能なプロバイダ |
各サブコマンドには、具体的な対象を指定したり、設定値を指定する「パラメーター」が付く。引数は、HELPの「使用法」で示され、必要なパラメーターには簡単な解説が表示される。

各サブコマンドは、後に「HELP」を付けることで、コマンドのヘルプが表示される
なお、パラメーターは、「パラメーター名="パラメーター"」として指定できる。たとえば、MBNで対象となるMBNデバイスを指定するには「interface= "モバイル ブロードバンド接続"」、「name="au"」などのパラメーターを指定する。なお、複数のパラメーターがあるときには、間にスペース(半角スペース)を置く。
パラメーターを「使用法」の順番通りに指定する場合には、「パラメーター名=」の部分を省略できる。たとえば、
set profileparameter [name=]<文字列> [[interface=]<文字列>]
のように指定してある場合、以下のどちらでもパラメーター指定が可能だ。
set profileparameter name="au" interface="モバイル ブロードバンド接続"
set profileparameter au モバイル ブロードバンド接続
なお、netshコマンドは、netshと打ち込んだあと、mbnなどのコンテキストを入力し、そのあとコンテキスト独自コマンドなどを利用する。
またnetshコマンドは、管理者でなくとも起動することはできるが、値の設定などに制限がある。また、コマンドプロンプトウィンドウで以下のように前コマンドを1行で指定して実行させることも可能だ。
netsh コンテキスト コマンド サブコマンド パラメーター……
単に、値を確認したい、コマンドを1つだけ実行したいという場合には、この形式を使うと便利だ。
さて、MBNでは、デバイスの指定にインターフェース名を使うが、これは、「コントロールパネル」→「ネットワークと共有センター」 で「アダプター設定の変更」リンクを使って表示できる「ネットワーク接続」ウィンドウの「名前」に対応している。
ここには、無線LAN、Bluetooth、VPNやダイヤルアップネットワーク、有線LANなどのネットワークアダプタ(インターフェース)が表示されるが、この中にMBNデバイスであり、netsh mbnコンテキストでいう「interface」が含まれている。ここで名前を変えることで、netsh mbnコンテキストから見える「interface」の名称も変化する。
netshはコマンドラインであるため、日本語の入力が面倒なことが多い。そのため、「ネットワーク接続」でMBNデバイスの名前をアルファベットのみのものに変更しておくと、netshコマンドが使いやすくなる(もちろんコピー&ペーストを使ってもいいが事前にコマンドプロンプトウィンドウでの設定が必要)。

この連載の記事
- 第328回 Windows 10/11で可能だが、デフォルトでオフになっているSMB圧縮の効果を試す
- 第327回 Windowsでコマンドラインから画面キャプチャーをする
- 第326回 WindowsのACL(Access Control List) エクスプローラーが扱うACL
- 第325回 icacls.exeコマンドの設定項目とWindows内部のACL設定との関係
- 第324回 WindowsのACL(Access Control List)を解説する【定義編】
- 第323回 WindowsのACL(Access Control List)を解説する【準備編】
- 第322回 WSLにインストールされているファイルから原因となるパッケージを探す
- 第321回 Windowsのレジストリなどに見られるGUIDとは?
- 第320回 Windows Insider Programに変化あり 次期Windows 11ベータテストへの布石か
- 第319回 Windowsのcmd.exeからLinuxコマンドを使う際はエスケープ文字の使い方を覚える
- 第318回 WindowsのコマンドラインからUSBデバイスについて調べる方法
- この連載の一覧へ