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高級ジュエリーにインテル入ってる 金ピカの腕輪デバイス「MICA」、爪サイズのコンピューター「Curie」が向かう先:CES2015

2015年01月09日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ編集部

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 バーニーズ・ニューヨーク、オープニングセレモニー。有名ブランドをそろえたセレクトショップに「MICA」というブランドのブレスレットが入荷したのは昨年12月のことだった。

 ヘビ革のバンドに真珠やラピスラズリがあしらわれ、18金でコーティングされたパーツがエキゾチックな輝きを放つ。495ドル、5万8000円ほどで売られたこのブレスレット、実はインテルが「開発」したものだ。

 3G回線を使った通信機能を備えており、向こう2年の通信料金が製品価格に組み込まれていた。手首に当たる内側部分には1.6型の小型ディスプレイがあり、メールを送ったり(文字入力はせずいくつかの文例から選ぶだけだが)、Googleカレンダーを見たり、リマインダーを設定・確認したりできた。

 エナメルの財布を抱えた女性たちが腕輪のデザインを品定めする一方で、別の感想を持つ人たちもいた。「この腕輪に入ってるのがインテルの新製品ってこと?」と、たとえば私のように。

 「ついに出来たのだ、と言わなくては。(コンピューターが)とても小さく、ジャケットのボタンほどに」

 米国時間7日、家電見本市「2015 International CES」基調講演。インテルのブライアン・クルザニッチCEOがそう言ってつまみあげたのが、親指の爪ほどのモジュール「キュリー」(Curie)だ。32ビットのSoc、384KBのフラッシュメモリーに80KBのSRAM、モーションセンサーなどを積み、Bluetooth無線に接続できる。

 キュリーは昨年のCESで同社が発表したSDカードサイズのモジュール「エジソン」よりさらに小さい。MICAのようなウェアラブルデバイス向けに開発されたモジュールで、今年のCES会場ではエジソンを搭載したドローン、スノーボードのゴーグル、工場で使われる手袋などが展示されていた

 あらゆる製品がインターネットにつながるという「Internet of Things」(モノのインターネット)は今年のCESで最もよく目にしたキーワードだ。シリコンバレーの人々は農業からサービス業まであらゆる産業を通信化して儲けようとしており、モノの世界ではインテルやARM、サムスンなどのメーカーが先頭を行く。

 インテルが昨年のCESで披露していたカメのおもちゃがついた妙なロンパース(カメにエジソンが入っていた)はともかく、今回の展示品は言われなければコンピューターの存在に気づかないものもある。腕輪はほんの一里塚だ。私たちの日常生活は徐々に、しかし着実にインターネットの世界と同化していく。


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