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ウェアラブルは何のためにあるのか?

2015年01月04日 11時00分更新

文● Owen Thomas via ReadWrite

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健康か、あるいはフィットネスか?業界は判断を迫られている。

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ウェアラブルの記事を書くにあたり、私はデジタル・フィットネスに焦点を当てることにしたのだが、面白いのは、健康とフィットネスがずっと混同されているということだ。

私が司会を務めた先日の夜のパネルディスカッションで述べたように、2つは「健康とフィットネス」とひとくくりに扱われることがしばしばだ。

この2つをマーケティングの柱としてウェアラブルの市場がようやく始動したのだが、市場では混乱が見てとれる。カウチポテト族を獲得しようとしたスマートなリストバンドは売れているのか?あるいは、すでに積極的に運動している人々にとっては役立つのだろうか?

効用を生む健康 vs. 手軽なフィットネス

これは現在も成長している巨大な市場だ。1年前、米国では10人に1人がウェアラブルデバイスを所有していた。PwCによれば、今やその数は5人に1人にまで増加し、その半数が日常的に使用しているという。

しかし、それは同時に、多くの人がウェアラブルデバイスを持っていないということでもある。

身体とその動きを追跡するアプリやガジェットを開発する側にとって、ある悩みの種がある。より大きな市場となる可能性があり、社会にとって利益となるのは、健康に関するほうだということだ。前糖尿病患者(米国では8600万人いると推定されている)を適度な運動とバランスのよい食事で改善させられれば、本人にとっても、ひいては医療制度にとっても大きな成果となる。

しかし、ハードウェアを購入し、プレミアム会員の登録をするような層は、すでに健康であることが多い。最も熱心にフィットネス・アプリを使う人々は、健康で長生きすることではなく、トライアスロンで勝てるかどうかを心配する層だ。そのような人々にはすでに十分な選択肢があるのだ。

このように、マーケットには2つの矛盾した動向があることがわかる。ライフスタイルに関わる製品を出している企業は、ワークアウト向きの機能に力を入れている。その一例がIntelのBasisだ。オリジナルのB1は24時間トラッカーとでもいうべきものだが、新しいBasis Peakは運動面での機能を備えており、心拍数を追跡するStravaのようなアプリと親和性が高い

Fitbitもまた、シンプルな万歩計から始まったが、心拍数の計測機能を備えた2つの新製品を来年発表する。

よりシンプルに心拍数の小さい変化から健康状態を見抜く方法が開発されれば、心拍数計測機能は巨大マーケットになるかもしれない。しかし、今はまだ陸上競技やクロスフィット(フィットネス団体・ワークアウトプログラム)向けだ。

フィットネスは幅広く、安価なものへ

同時に、当初はランナーやジム通いに熱心な人々に愛用されていたフィットネス・アプリのメーカーは、より幅広い消費者にアピールしようとしている。その例がRunKeeperのBreezeや、RuntasticのRuntastic Meなどのフィットネス計測アプリだ。

フィットネス用の追跡アプリでもう一つのトレンドとなっているのは、そう、価格が下がることだ。その例がThe Misfit FlashやJawboneのMoveで、どちらも50ドル以下だ。これらは埋め込み型のセンサーでシンプルに運動を追跡するだけの無料のスマートフォンアプリと競合している。

このようなフィットネス・アプリの2大潮流の狭間に現れたのがスマートウォッチだ。来年発売されるApple Watchのフィットネス機能は、まだ明らかになっていない。例えば、どの程度正確に心拍数のデータを得られるか、などだ(アップルは「強さを正確に計測できる」とだけ言っている)。マイクロソフトのBandやサムソンのGear Fitのような、現在発売されている他のスマートウォッチは、心拍数を表示することはできる。しかし、それがどのような体の状態を表しているのかまでは詳しくわからない。

スマートウォッチが市場のハイエンドで、FitBit SurgeやBasis Peakのような洗練されたトラッカーが中級モデルとなり、50ドル以下の安価なトラッカーも、手頃な価格のギフト向け商品として売れ続けると私は予想している。また、スマートフォンにもより多くの機能が追加されるだろう。われわれがスマホを肌身離さず身につけているのだから、もはやウェアラブルと認識されていると言える状況にある。

このような市場における住み分けは当然のことだ。しかし、ウェアラブルに対する疑問を解決する鍵にはなっていない。なぜ?健康のため、それともフィットネスのため?よりスマートで安価になったデバイスはその疑問に答えてくれないだろう。ユーザーの生活を改善するという明確な目的のために考え抜かれた製品が現われたときに初めて、ウェアラブルは何のためにあるのかをわれわれは理解するだろう。

トップ画像提供:Adriana Lee

Owen Thomas
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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