情報が吸収しやすい形に変わっていくことを多くの人たちが求め始めた
2014年に見えた「コンテンツは集約/シェアされるべきだ」という潮流
2014年12月31日 09時00分更新
ダイヤルQ2の理想はLINEが実現した
―― ソーシャルという括りで考えますと、かつて一世を風靡したダイヤルQ2がサービス終了した年でもありました(1987~2014年)。
まつもと ダイヤルQ2ってLINEと歴史的な意味においてつながっていると思うんですよね。ただ、これは出会い系ツールだという意味ではありません。もっと本質的なところです。
たとえばLINE@って企業とユーザーが一対一でコミュニケーションツールで結びつくためのサービスですよね。企業が送りたい情報をユーザーにダイレクトに届けることができる。
これはダイヤルQ2の進化の延長線上にあるかなと思っています。元々、ダイヤルQ2のコンセプトは「電話をかければ情報が取り出せる」というものですから、25年前にダイヤルQ2が掲げた理想が形を変えて実現したと言えるのではないでしょうか。
―― LINEが隆盛する一方でダイヤルQ2が終了するということは、サービスにおける正常進化というか世代交代の成功例とみるべきかもしれませんね。
まつもと サービス終了だとNOTTVの終了(2012~2014年)も結構大きなトピックかなと思っていて。これはユーザーの望むような形ではなかったことを意味します。
コンテンツは、もっと渾然一体としているうえでメタデータは共通化されていて、検索もひとつのやり方を覚えれば見たい物が探し出せるし、サービス側からも推奨番組が挙がってくる、というようなものをユーザーは求めていたはずです。
そういった、いうなればhuluのような仕組みに移行しなければならないということが、より明確になるところまで時代が進んだという点で象徴的な出来事だなと。
Oculus RiftとIngress ―― やはりSecond Lifeは早過ぎた!?
―― デバイスやコンテンツに話を広げると、2014年のキーワードとしてはOculus Rift、Ingress、そしてドローンが挙げられると思います。
まつもと Oculus RiftとIngressを体験すると、Second Lifeを思い出します。要は、やっぱり一足飛びには行かないんだなと。まだ人間は、仮想空間で第二の人生を送るところまで進化していない。
Oculus Riftが達成したのは、視覚と身体感覚を疑似空間で合体させたこと。(人間を仮想空間に適応させる試みとして)これは一歩踏み出したかなと。
Second Lifeはゲーム的な要素が少なかったので、多くの人がここで何をしたらいいのかわからなくなって離脱していきました。翻ってIngressは、現実空間に別の物語というか、仮想空間を被せることで、ゲームとして遊べるようパッケージングしたものと言えます。
Oculus Riftもゲームと紐付いた活用が盛んですし、ソニーもProject Morpheusを発表したように、やはりゲームとくっついてARは進化していくだろうと思います。2014年はそういった進化の方向性を、2つのデバイス/サービスが示したことが大きなトピックだと思います。
ドローンは「プラスアルファ」を考えるのが面白い!
そしてドローンは単体で語ってもあまり面白くありません。ドローンと何を組み合わせるかと考えた途端、広がりが出てくると思うんですよね。いまのところはドローンそのものに注目が集まってる感がありますが、ドローンはあくまでも何かを実現するための道具でしかないとみたほうがいいかなと。
カメラの活用を拡げるデバイスでは確かにあるのですが。
ドローンとビッグデータを組み合わせて何ができるのかとか、Amazonも構想を発表したように流通と組み合わせて何ができるのか、とか。それにクアッドコプタータイプじゃなくてもいいわけです。
たとえば人間の感情と組み合わせる……同じく2014年に話題となったパーソナルロボットPepperくんもドローンの一種じゃないかという考え方もできると思うんですよね。
というわけで、「ドローンと何かを組み合わせた進化」がこれから起こっていくはずです。当然、名古屋でドローンが墜落した事故や、アメリカでは航空宇宙局が規制を厳しく敷いたりといったこともありますけれども、2015年は環境整備が始まっていくはずなので、ドローン+αの新たなサービスの誕生がこれから楽しみですね。
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