充実してきた単品ヘッドフォンアンプの実力を探る
本格派USB DACのバランス駆動で、音の世界に浸る (2/7)
2014年12月29日 09時00分更新
単品コンポーネントでも、USB DACを内蔵したものは数多い。
もともとD/Aコンバーター回路を持っているCDプレーヤーがUSB DAC機能も兼ね備えることが増えてきているし、ユニバーサルタイプのBDプレーヤーでも同様のモデルがある。同じくD/Aコンバーター回路を持つAVアンプは、DLNA準拠のネットワークオーディオ再生機能を持つことが多いが、高級機の一部にはUSB DAC機能を備えるモデルもある。このほか、プリメインアンプにUSB DACを内蔵し、パソコンとの接続やデジタル入力が可能になったモデルもある。
その中で、マランツの「HD-DAC1」(実売8万9500円前後)は、かなり力の入ったモデルだ。
スペックとしてはリニアPCM192KHz/24bit、DSD2.8MHzと5.6MHzで、DACチップはシーラス・ロジックの「CS4398」。USBインターフェース部に、各信号線を電気的に絶縁しパソコンから流入するノイズを遮断するデジタル・アイソレーション・システムの採用や、フルディスクリート構成の無帰還型バッファーアンプ回路を出力段に使用するなど、かなりこだわった作りとなっている。
バランス出力を持たない点がちょっと物足りないところだが、対応するヘッドフォンも決して多くはないので、そこにこだわらなければ、かなりハイレベルなモデルと言える。
これ以外にも、デノンの「DA-300USB」(実売4万円前後)、ティアックの「UD-501」(実売7万5000円前後)なども人気の高いモデル。どちらもDSD2.8MHzと5.6MHzに対応するなど、スペック的には十分。それぞれのオーディオ技術を活かし、質の高いハイレゾ音源の再生を楽しめる実力を持つ。
このように、一言でUSB DACといっても、それと同じ機能を持った製品は数多いので、自分の使い方に合ったものを選ぶことが肝心だ。
なお、純粋に単体USB DACを選ぶという選択肢もあるが、そうした製品は今ではハイエンドオーディオの超高価格なものがほとんど。定石で言えば、デジタルオーディオ回路とアナログオーディオ回路は別筐体にセパレートするのが理想だが、コストも跳ね上がるし機器が増えて接続も大変になる。どこまでこだわるかは、それぞれの音楽にかける熱意とお財布の事情次第だ。
USB DACのスペックも日進月歩で、ここまで紹介した製品のように多少スペックには差があるが、現実問題として実際にハイレゾ音源として販売されているものがカバーできていれば問題ないだろう。リニアPCMならば192kHz/24bit、DSD音源なら2.8/5.6MHzで十分ということだ。このあたりに気をつければ、失敗のないUSB DAC選びができるだろう。
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