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セルフィーも3Dスキャンで行う時代へ 3D点群処理技術を用いたアプリ「Fyuse」ラドゥ・ラス博士が開発

2014年12月27日 20時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 Instagramの月間アクティブユーザーが3億人を超え、Twitterを追い抜いた。そんな月初のニュースがはるか昔のように感じられる。さながら「写真を動かせるInstagram」とも言うべきアプリ「Fyuse」が登場したためだ。男の子が女の子たちを笑わせるためにだけ使っている10秒動画アプリとはかなりアプローチが異なる。

 Fyuseはスマートフォンのカメラを使い、被写体を独自技術で3Dスキャンしながら撮影できる無料アプリだ。パノラマ写真を撮る要領で被写体の周囲をぐるりと回りながら撮影する。Instagramのようにタイムラインに撮影したデータを放流すると、被写体の正面から背後に回り込むように観賞できるようになる。

 17日に更新されたばかりの新バージョンでは、3D空間データを活かし、あらゆる角度からタグデータをつけられるのも特徴。たとえば服や靴などに「値札」をぶらさげたファッションスナップなども出来る。

 Fyuse開発元は米サンフランシスコのフュージョン(Fyusion)。創始者は3D技術の権威ラドゥ・ラス博士。ロボットベンチャーのウィロウ・ガレージで3Dデータを使ったロボットの認識技術を研究する傍ら、3Dデータのオープンソースライブラリ「ポイントクラウド・ライブラリ」(PCL)を立ち上げたことで知られている。

 Fyuseの事業モデルはグーグルの機械学習技術と同様に、データの収集・活用がメイン。Fyuseで「モノの3Dデータ」を蓄積、認識技術への応用を視野に入れる。短期的には「3Dカタログ」などプロモーション利用を想定し、メンズファッションブランド「ピアモス」(Pyer moss)との提携も進めている。

 3Dデータの成長性を見込み、投資機関も目をつけている。日本からは東京大学エッジキャピタル(UTEC)、米国からはNew Enterprise Associates(NEA)、サン・マイクロシステムズ創業者であり、グーグル創業時の支援にあたったアンディ・ベクトルシャイム氏もエンジェル投資家として関わっている。

 今年6月にはすでにシリーズA段階にして総額3億3500万ドル(約403億円)の出資を受け、技術系投資家たちからの視線も熱い。しかし、技術はともかく最初の課題はFyuseが定着するかどうか。たしかに体験としては新しいし、「パノラマ自撮り」なんてやってみると意外と面白いのだが、あなたはどうだろう。


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