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マイクロソフト・トゥディ 第124回

「日本MSだからできるのではないか」 - テレワーク実践で見えてきた効果と課題

2014年12月20日 11時00分更新

文● 大河原克行

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テレワーク推奨強化の成果

 では、今回のテレワーク推奨強化週間の取り組みによって、どんな成果が生まれているのだろうか。

 賛同企業を含めた約1000人からの回答をもとに分析したところ、1日あたり1時間以上、時間を削減できたと回答した人は約7割に達したという。外出準備や通勤、移動などの時間が減ったことで、時間を効率的に利用できた人が多かったことがわかる。

 テレワークに対する期待としては、時間の有効活用、働きやすさの向上、仕事の効率化が上位にあがっているが、実際にテレワークに取り組んだ結果、時間の有効理活用ついては86%の回答者が実感できたと回答。仕事の効率性向上では72%、働きやすさでは77%の回答者が、効果を実感できたと回答している。

テレワークの導入や利用を阻害する要因

 一方で、テレワークの導入や利用を阻害する要因についても調査。ここでは、導入や利用において、そもそもテレワークの制度がないとする企業が30%、勤怠管理上の課題やセキュリティ上の課題から原則は社内で業務を行なうという仕組みの問題を指摘する企業も30%に達した。

 また、さぼりを誘発するようなマイナスイメージがあるとした企業が25%、オンライン会議の仕組みがないといった企業が24%に達するなど、組織文化の観点や、情報システム整備の観点からも課題があることが浮き彫りになった。

 回答者からは、「これらの取り組みを推進していくには、承認する側の考え方の変革が必要」「人事面(業務時間の問題)やセキュリティ面で課題が残る」「ハードウェア、ソフトェア、人といった環境が整わないと在宅勤務はしにくい。周囲の人間の理解が最も必要」といった声があがっていた。

テレワークが必要だと回答した人は76%

 だが、現在の仕事や生活においてテレワークが必要だと回答した人は76%、将来の社会での必要性については、83%が必要であると回答。テレワークを実際に体験した人からは、今後の社会にとってテレワークの仕組みが必要になるとの見解が示された。

 参加者の間からは、「テレワークは育児、介護の必要がある人だけのものではない。今後、個人が多様な働き方を選択できることでよりパフォーマンスを上げるためにも、可能な範囲でさまざまな立場の人が選択できる環境、文化を作ってもらいたい」、「紙媒体の書類を多く扱っている場合にはテレワークの実施には難点が多いが、時間の有効化や子育てとの両立ができるなどメリットが多いため、これからの社会でこの働き方が広まってほしい」という声があがっている。

 こうしてみると、テレワークの体験者は、テレワークの効果を十分に享受しており、将来においても世の中にテレワークが広がっていくことが重要という点では共通の認識を持っているようだ。

「日本マイクロソフトだからできるのではないか」

 だが、企業や社会の制度や設備が、テレワークの環境に追いついていないのも実態だ。

 言い換えれば、制度や設備が整っている「日本マイクロソフトだからできるのではないか」という意見は、ある意味的を射ていることが浮き彫りになったともいえる。

 今後は、テレワーク実践者の期待を現実のものにするために制度づくりや、機器の導入、企業文化の醸成が鍵になってくるだろう。

 政府では、「世界最先端 IT 国家創造宣言」において、「雇用形態の多様化とワーク・ライフ・バランス(「仕事と生活の調和」)の実現」を打ち出し、「2020 年にテレワーク導入企業を2012 年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上を目指す」としている。その実現に向けては、まだまだ課題は多い。

「2020 年にテレワーク導入企業を2012 年度比で3倍」、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上を目指す」としている


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