テレビが社名にない、テレビの枠を飛び越えたい
分社化した会社名に「テレビ」という言葉を入れなかったのは、「テレビの枠に捉われない新たなテレビを作るという意思を込めている」と今村社長は語るが、Androidの採用には、こうした新たなテレビづくりの狙いも含まれている。
そして、「これまでのように、なんでもソニーから作るという体制から脱却することで、研究開発費の削減や、開発体制の変更による大幅な効率改善が図れる。スマホやタブレットの設計、開発部門との知識の共有化を進める」とする。
ここでの課題は、Androidという共通プラットフォームにおいて、ソニーのテレビは、本当に差異化が可能なのかという点だ。
「ソニーが持つ画像信号処理技術やバックライト制御技術で差をつけることができる」と今村社長は語るが、これは実際に製品が登場してみなければ、その差を実感することはできないだろう。
ソニーは今年発売したウォークマンで、Android搭載をやめた。操作性やバッテリー駆動時間で課題があり、ソニーらしさが発揮できないと判断したからだ。Androidを搭載していない今年の新製品は、ハイレゾ対応ということもあって、前年の同等モデルよりも2倍近い販売実績に達しているという。オーディオ事業ではAndroidから独自路線へ回帰して成功を収める一方で、テレビ事業ではAndroidに踏み出すというアンバランスさも気になるところだ。
2015年に登場するAndroidベースのテレビとはどんなテレビになるのか。しっかりとした差異化ができたテレビとして登場感を持った形で投入されるのか。
まずは、最初のAndroid搭載テレビが大切だ。これが、今後のソニーのテレビづくりを表現するものになるのは間違いがない。
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