3GやLTEの通信モジュールを扱う機能を
Windowsが標準で搭載する
Windows 7以降に導入されたMBNでは、通信モジュールなどを有線LANや無線LANと同じネットワークデバイスとして扱い、これをWWAN(Wireless Wide Area Network)サービスが管理するという仕組みになっている。
Windows 7ではNDIS 6.2、Windows 8ではNDIS 6.3に準拠したMBNデバイス(USB通信アダプタなど)のミニポートドライバが必要になる。MBNデバイスを制御するのはWWANサービスだ。これはMBNデバイスのインストールとともにサービスとして起動され、MBNデバイスをNDISドライバ経由で管理し、モバイルブロードバンド用APIなどを提供する。
これは大きくは「ワイヤレスネットワーク」、あるいは「ネットワーク」という機構の一部であり、上位に接続マネージャや電力管理のためのマネージャ、あるいは、サービスや接続先などのデータを処理する「MBデバイスメタデータ」モジュールなどがある。また、無線LANにも同様のWLANサービスがあり、無線LAN関連のAPIを提供して、接続マネージャなどから制御を受ける。
WWANサービスは、具体的な接続処理や自動設定機能などを実行し、マネージャやアプリケーションなどに対してAPIを提供する。あるいは、障害診断機能やログといった機能もここが受け持っている。
WWANでは、APNなどの接続先などの情報を「プロファイル」として管理している。一般にモバイルネットワークでは、接続先などは、契約で決まり、契約が変更にならない限り、頻繁に設定を変更する必要がない。なので、その設定内容はWWANサービス側で管理される。
プロファイルの削除や追加などは、NetshコマンドのMBNコンテキストで行うことが可能だ。また、無線LANと同様に接続開始などの指示もNetshコマンドから行なうこともできる。
なお、接続するネットワークはユーザーが手動で指定できるが、そうでない場合には、接続マネージャが、最適と思われるネットワークに接続する。このとき、有線LANが最も優先度が高く、無線LANは、電波の強さなどを評価してアクセスポイントを選択する。このときMBNは最も優先度が低く、有線LAN、無線LANともに接続できない場合に選択される。ただし、ユーザーは自動接続を禁止することが可能だ。
ちなみにモバイルネットワークには、パケット通信以外にもSMSやSIMの暗証番号(PIN)、USSD(Unstructured Supplementary Service Data。おもにコアネットワーク側と端末間でやりとりされるメッセージシステム)などの仕組みがある。これらは、契約や追加チャージ、端末のアクティベーションといった処理をモバイルネットワーク内で行う場合に必要な処理であるため、MBN用ハードウェアが持つ機能としてNDISを介してWWANサービスのMBN APIあるいはデバイスサービスAPIなどから制御することができる。
ハードウェアに組み込まれたのMBNデバイスでは、契約やアクティベーションなどのために事業者とハードウェアベンダーが用意したアプリ画面やウェブページを開くことができるようになっている。また、接続マネージャに相当する機能を持つアプリケーションを組み込み、設定や接続開始などをここから指示することも可能だ。
これらがなく、あとからUSBポートなどに接続されたMBNデバイスに対しては、APNデータベースからの情報を元にAPNなどの候補を表示するが、その選択肢の1つとしてユーザーが手動でAPNなどを設定する「カスタム設定」がある。なお、一度設定したあと、設定を変更するには、PC設定の「ネットワーク」→「接続」で該当のMBNのエントリを開いて行う。
また、接続処理などはコマンドプロンプトからnetshコマンド経由で可能だ。次回は、netshコマンドなどを使って、実際のモバイルブロードバンドネットワークの制御などを見ていくことにする。
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