このページの本文へ

業界人の《ことば》から 第121回

たった36時間でスマホアプリのデザイン決定、クラウドソースの底力

2014年12月09日 09時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

懐疑的な日本の人々に例を見せていく必要がある

 だが、その一方で、アピリオの藤田社長は、日本におけるクラウドソーシングの浸透に遅れがあることを懸念する。

 「日本においては、クラウドソーシングで、どれだけのアプリが作れるのかと、疑心暗鬼に思っている人たちが多い」と藤田社長は指摘する。「そして、クラウドソーシングによって、どうやってアプリを開発するのか。それを実際に示してみせることが大切だと感じている」と続ける。

 そこで、アピリオでは自らがアプリ開発の案件を用意し、コンテストとして、topcoderに提案。モバイルアプリの開発を実際に行ってみせた。

モバイルアプリのデザインを36時間で作ってもらう

 10月28日に開催された「ガートナーシンポジウム2014」において、「イベント管理モバイルアプリ」のデザインをテーマに、36時間のライブデザインコンテストを行ったのがそれで、同シンポジウム会場でのアンケートをもとに、まずはモバイルアプリのデザインを募集した。

 アンケートでは、「休暇が取れたらどこにいきますか」という質問を実施。ここからデザイントーンを決めることにした。回答では、「ビーチリゾート」との回答が多かったため、デザイントーンはリラックスとした。また、「秋に楽しみにしているものは」との質問から色調を決定。さんまとの回答が多かったことから、ベースカラーは「青系」に。また、「乗りたい車はどれですか」との質問では、ランドローバーが多かったため、ロゴデザインは「マッチョな雰囲気」とした。つまり、デザイントーンの要件は、「リラックスした感じの青系UIで、ロゴはマッチョなイメージ」となった。

 これらの要素を提示し、イベント管理モバイルアプリのデザインの要件を決定。イベント開催初日の28日午後8時から、topcoderにおいてコンテストを開始した。賞金は総額で8000ドルを用意。最優秀デザインに選ばれた開発者には1800ドルの賞金を設定した。「今回は、36時間と募集期間が短いことから、賞金は高めに設定した」(アピリオ・藤田社長)という。

 このコンテストては、36時間内に、世界9ヵ国から、51人のtopcoderコミュニティに参加する技術者が、45のデザインを開発してみせた。

 デザインで最優秀作品に選ばれたのはフィリピンの開発者。参加国は、インドネシア、タイ、ルーマニア、ペルー、ポーランド、フィリピン、インド、米国、中国であり、残念ながら日本からの参加者はいなかった。

 アピリオでは、鮮やかなブルーを基調に、文字がしっかりとアピールされた「MY EVENT FINDER」を最優秀作品に選び、これをもとに次のステップに進んだ。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ