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“重ね塗り”製法の確立で有機薄膜の実用化が進む

山形大、二層構造により有機ELディスプレーの高効率化に成功

2014年12月12日 17時06分更新

文● 行正和義

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 試作した塗布型有機トランジスタ駆動フレキシブルディスプレー 

 山形大学は12月10日は、少ない電流で明るい塗布型有機トランジスタ駆動フレキシブルディスプレーの試作に成功したと発表した。

 山形大学有機エレクトロニクス研究センターが開発・試作したもので、塗布型有機トランジスタ集積パネルでの発光部を2層に重ねることで高効率化、少ない電流でも明るく光るという。試作したディスプレーは基板サイズが10×10cm、表示部が3.25×3.25cm、解像度100ppi、厚さ0.25mm。印刷プロセスで製造を見据えており、各種のディスプレー装置やデジタルサイネージなど広範囲な利用を見込んでいる。

 この有機ELパネルに先立って、山形大では奈良先端科学技大学院大学とらと共同で、重ね塗りによる有機薄膜形成による太陽電池の高出力化も実現している。塗布型有機薄膜は材料が溶剤に溶け出てしまうことから重ね塗りによる多層化ができなかったが、光を当てることで固めて不溶化する手法を用いて二層の有機薄膜を作成、光から電気への変換効率を2倍とした。

有機薄膜の重ね塗りによって効率を向上させた塗布型ヘテロ p-i-n 構造の構築

 有機ELディスプレーなどのトランジスタ、有機薄膜太陽電池は、シリコン半導体デバイスに比べると効率は現時点で低いのが難点とされるが、印刷プロセスで製作できることから製造コストを抑えられるのは大きな利点であり、“重ね塗り”手法の確立で高効率化が進めば普及に拍車がかかることも予想される。

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