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見た目も中身も尖ったハイエンド機、ポータブル専業から新たな市場へ

Astell&Kern、実売160万円の「AK500N」でデスクトップオーディオ市場に参入

2014年12月12日 09時00分更新

文● 編集部

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独創的な外観に、多機能を詰め込むコンセプト

 マッターホルンにインスパイヤされたという独特の筐体は厚さ4cmのアルミ板を削りだして造形されたもの。サイズは幅214×奥行き238×高さ243mm。重量は11.4kgとなり、写真のブラックのほかシルバーのカラーバリエーションが選べる。

ポタ研の際には自立するスタンドも用意されていたが、製品版ではこのデザインは見送られ、代わりに重箱的なスタック構造が採用されたようだ。

 通信機能としては有線LAN(Gigabit Ethernet)および無線LAN(11b/g/n)に対応。入出力端子はデジタル系でSPDI/F(同軸)、AES/EBU、BNCの3種類の入出力に対応。アナログ系ではそれぞれ固定・可変2系統ずつのRCAおよびXLR出力を持つ。USB端子は背面に2つ(PC接続用とUSB HDD接続用)、側面に1つ(USBメモリー接続用)。さらにmicroSDカードスロットも持つなど、考えうるすべての選択を盛り込んだという印象。

 ヘッドフォン出力も一般的な3.5mmミニプラグ、6.3mm標準プラグに加え、AK240などと同様の2.5mm4極バランス出力を持っている。据え置きで単品アンプ/スピーカーなどと接続して利用するのがメインとなる機種だが、デスクサイドにおいて単体で使う用途にも対応できる。

 本体内蔵のストレージは標準で1TBのSSDとなるが、内部には4つのベイを持っており、最大4TBまで拡張できる。RAID0とRAID5の構成も選択できるという。容量は購入時だけでなく、後からのアップグレードも可能だが、その際には一度外部ストレージに本体内のデータをバックアップした後、アユートに預けての作業が必要となるとのこと。

 DACチップはシーラス・ロジックの「CS4398」を左右独立で使用。本体はバッテリーで単体駆動する仕組みで、フル充電から約7時間の利用が可能。ACアダプター接続時でも基本的にバッテリー(10400mAh/7.4V)だけで動作し、残量が5%を切った際や不使用時にのみ充電する。電源部への飛び込みノイズは1%以下、リップルノイズも5Aで50mVp-pを下回るという。

独創的な外観に、多機能を詰め込むコンセプト

 AK500NはCDライブラリーを大容量の内蔵ストレージにため込める一体型機という側面と、配信などで入手したハイレゾデータをネットワーク経由、あるいはPCとのUSB接続で多彩に楽しむ機器という2つの側面を持つ。

CDはそのまま再生するのではなく、一度内蔵SSDにリッピングする仕組み。楽曲情報も自動で反映されるので便利だ。

 まずリッピング機能(Perfect Extractor)はオープンソースのリッパー「CDparanoia」をカスタマイズして利用。さらに高品質クロックジェネレーターを使った、ジッター訂正やエラー補正機能が働き、高精度な読み込みが可能になるという。アルバム情報はインターネット上にあるGracenoteデータベースから自動的に取得可能。リッピングしたデータは設定により自動的にWAVまたはFLAC形式で保存される。

 一方ハイレゾファイルの再生では、本体に接続したUSB HDDやパソコン、あるいはDLNAサーバー上など多彩な場所に置かれたファイルに対応。WAVやFLACなどに加えて、MP3、WMA、ALAC、DSFをはじめとした豊富な形式のデータに対応する。

 さらに面白いのはPCM to DSDという独特の仕組みを設けた点だ。これはPCMデータを再生時に、リアルタイムで2.8MHzのDSD形式に変換しながら、より滑らかに再生する機能となる。特に有効なのが、DXDなど384kHz/32bit、あるいは352kHz/24bitなどハイビット/ハイサンプリングレートのPCMデータの再生時。AK500Nはこれらのデータをネイティブ再生できないが、一度DSDに変換することでダウンサンプリングせずに高音質な再生が可能だという。

 このほかGUIでは、楽曲情報の見やすさや選曲しやすさに加えて、端子の切り替えのしやすさも追求している。具体的には画面に背面端子と同じレイアウトが表示され、指で切り替えたい端子をタップするだけで簡単に接続先を切り替えられる機能などとなる。

本体の側面のボリュームダイヤルで音量調整が可能。スピーカー接続だけでなくヘッドフォンでも高音質に楽しめる。

 デザインや機能の豊富さに加えて、操作性などに関しても独特のこだわりが感じさせられるAK500N。発表会ではディナウディオの大型スピーカー「CONFIDENCE C4」も朗々と駆動していた。価格の点でもハイエンドだが、これまでのAKシリーズにはない特徴を備えつつ、AKシリーズの歴代モデルが育んできたトンガリ感も感じさせる、興味深い製品に仕上がっているようだ。

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