足元にまとわりつく猫は自分撮りモードで!
そんな悠長なこといってらんないのが、やたら人なつこい猫の場合。
古墳近くの駐車場でのこと。次へ移動しようかと止めてある車に戻ってきたら、遠くに猫の姿を発見したのである。しかも美猫である。
そっとしゃがんで数枚撮ったら次の目的地へ向かおう、と一枚。せっかく見かけたのに写真の1枚も撮らないのではもったいない。
そしたら、そのままとことことこちらへ近づいてきやがりまして、どこまでくるかと思ったら、しゃがんでる私にぶつかってきて足下にまとわりつくではないか。
ちなみにエサをちらつかせるとか、そんな猫寄せの術は使ってないのである。ちょっと警戒心が低すぎないか君は。
足下にこられると撮りにくくてしょうがないのだが、カメラを左手に持ちかえて右手で撫でてやる。すげーうれしそうに頭を押しつけてくる(前ページ冒頭写真)。
それはいいんだけど、冒頭写真の背景を見るとわかるように、もうみんな車に乗り込もうとしてるのだ。
困った困った。困らないけど困った。
ちなみに、このとき手にしてたカメラがたまたま「液晶モニターが180度回転して自分撮りができる」というキヤノンの「Powershot G7X」だったのである。とっさにディスプレイを自分撮りモードに切り替え(そうすると左手でシャッターを切りやすくなる)、右手で猫を撫でつつ左手をぐいと前に出してモニターを横目で見ながらアングルを調整して撮ったのだ。
自分撮りをする趣味はないので、自分には関係ない機能だなと思っていたのだけど、真横に来た猫を撮るときに都合がいいのであった。なるほど、である。
コツは、ピントが猫に合いやすいよう、猫を中心に置き、あとはもうカメラさんおねがい、って感じでたくさん撮っておくこと。
右手は猫を撫でるために使われてるので、撮った写真をじっくりその場でチェックするのは無理なのだ。
そうそう、こういう無茶な姿勢で撮る時って、コンパクトデジカメの方がいいんだよな。片手で持って片手で操作できるから。そうすると手ブレしやすくなるけど、そこは「カメラの手ブレ補正機能さんよろしく」である。もう清く正しいカメラの構え方、なんてやってられません。
ちなみにこの時点でみな車に乗り込んでて、あとは私を待つのみだったのである。
あまり待たせても悪いので、猫を離して車に乗ろうとすると、猫も車の回りをうろうろしちゃう。運転してくれてる友だちに「猫を轢いちゃいそうで気になるから何とかしてくれ」といわれる。
申し訳ないです。確かにその通りであります。
でも、初対面の猫をコントロールするなんて難題だ。
そうだ、抱き上げちゃえばいいかも、素直に抱き上げられればそれでよし。いやなら逃げていくだろう。
と試しに捕まえてみると、おとなしく抱っこされてくれました。なんてこった。
そして車は無事に駐車場を出て、私もあとから乗り込み、無事次の目的地へと向かえたのでありました。ちょっと残念だったけど。
その後、ちょくちょく猫を見かけたのだが、じっくり撮るにはいたらず、そろそろ日も暮れそうなので帰途につこうかと駐車場へ戻ったら、ちょこんと座ってるキジトラ猫が。
同行者のみなさまたびたび申し訳ない、と思いつつ、とことこと近寄ってきた猫を夕日を背景に逆光に撮ってみたり、反対側から順光で撮ってみたりしたのでありました。
逆光で撮ると猫は暗く写っちゃうけど、夕日を浴びた毛が赤く縁取りをつくってくれるのがいい。あまり真っ暗になっちゃうと猫の顔がわからないので、ちょっとレタッチして暗部を持ち上げてありますがこんな感じ。
反対から順光で撮ると、冬の低くて赤い夕日のおかげで暖かい色合いになる。これもまたよし。
太陽の位置が低い分、すーっと斜めに差し込む光を楽しめるのはいいのだけれども、寒いのと日がすごく短いのはかなわんですな。
猫と戯れたり写真を撮ってる間に日が暮れてぐっと冷えて風邪をひいたりしないよう、みなさまご自愛くださいませ。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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