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マイクロソフト・トゥディ 第123回

日本MS、ガバメント向けクラウドサービスの日本提供を検討開始

2014年12月11日 10時00分更新

文● 大河原克行

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公共機関におけるクラウド活用の動きが活発化
61%の自治体が採用を検討

 2つめには公共機関におけるクラウド活用の動きが活発化してきたことだ。

 「日本では、世界最先端IT国家創造宣言の実行に向けて、クラウドに対する注目が集まっている。地方創生の実現においても、先頃、一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構が新設されるなど、中核的な役割を担うのがクラウドということになる。さらに、テレワークの活用も問われており、ここでもクラウドが活用される」とする。

 海外の動きも著しい。例えば、カナダにおいては43の政府機関でクラウドを利用。オーストラリアでは州公認クラウドにOffice 365を指定。メキシコでは税金管理システムにMicrosoft Azureを利用するなど、政府におけるクラウド導入が加速。公共機関におけるクラウド利用機会が増加しているという。

 日本においても、61%の自治体でクラウドの活用を検討。医療分野でも2024年までに1800億円のクラウド市場が創出されることが見込まれているという。さらに、教育分野では、220万人の学生や教員がOffice 365を利用している。

日本では、世界最先端IT国家創造宣言の実行に向けて、クラウドに対する注目が集まっているほか、61%の自治体でクラウドの活用を検討。医療分野でも2024年までに1800億円のクラウド市場が創出されることが見込まれているという

 「日本の公共機関においては、データの扱いに関する制約のほか、セキュリティに関する基準があるために、オンプレミス指向が強い。クラウドからは最も離れた市場であったともいえた。だが、ここにきて、それが大きく変わってきている。政府などの動きを見ても、公共機関におけるクラウド導入は、かなり重要な局面に差し掛かってきたと判断している」と、織田執行役常務は語る。

 日本における公共機関のクラウド導入が遅れていた分、ここにきて一気に盛り上がりを見せ始め.兆しが出ているのだ。

日本マイクロソフトの組織体制が強化

 そして、日本マイクロソフトの組織体制が強化されてきた点も、もうひとつの見逃せない要素となる。

 日本マイクロソフトでは、公共機関向けクラウド推進体制として、約200人の専任営業、専任サービス組織体制を設置しているほか、100社以上の国内ソリューションパートナーとクラウドビジネスにおいて連携を進めているという。

公共機関向けクラウド推進体制として、約200人の専任営業、専任サービス組織体制を設置しているほか、100社以上の国内ソリューションパートナーとクラウドビジネスにおいて連携を進めている

 インターネットイニシアティブ(IIJ)との協業によって、学術情報ネットワーク(SINET)経由で、Microsoft Azureを提供。富士通エフ・アイ・ピーとの協業では、Microsoft Exchangeメッセージングサービスを総合行政ネットワーク(LGWAN)を経由して提供しているが、これらのパートナシップでは、いずれも公共機関専用の閉域ネットワークへの対応が大きな鍵となっており、公共機関におけるクラウド利用の敷居を大きく引き下げる要素のひとつとなっている。

 こうしてみると、「日本における公共機関向けクラウドビジネスは、成長できないという言い訳ができない状況」(日本マイクロソフト・樋口泰行社長)というほどに環境が揃ってきたともいえる。

 だからこそ、日本マイクロソフトは、新製品や新サービスがないにも関わらず、公共機関向けクラウドビジネスに関する会見を行ってみせたのだ。

 実際、織田執行役常務は、「公共機関におけるクラウドビジネスの年率4倍増は、決して難しいものではないと考えている」と、今後の高い成長に自信をみせる。明らかに「ギア」が変わったといっていい。

ガバメント向けクラウドサービスの日本提供を検討

 そして、日本マイクロソフトは、日本の公共機関向けのクラウドサービスとして、新たな切り札を用意している。

 それは、すでに米国で提供しているガバメント向けクラウドサービスの日本での提供だ。織田執行役常務も、日本での導入に向けて検討を開始していることを明らかにする。

 同様のサービスは教育機関向けにすでにプログラムが用意されており、教育機関を対象にOffice 365を無償で提供するといったことも行なわれている。

 米国では、Office for GovernmentとしてOffice 365を特別価格で提供したり、連邦政府の要請により、データセンターの管理者は米国人とすること、テナントを切り分けることなどが、このサービスの中では実現されている。

 日本向けのガバメント向けクラウドサービスでは、日本のデータセンターを活用しながら、特に総合行政ネットワーク(LGWAN)との連携などか鍵になりそうだ。

 「公共機関のお客様に認められるナンバーワンのクラウドパートナーを目指す」と、織田執行役常務は宣言する。それに向けたギアチェンジの成果が注目されるところだ。


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