Lambdaはほぼすべてのパターンで使える汎用性が魅力
Aurora移行宣言ゲットのcloudpack吉田、re:Inventを総括するの巻
2014年12月16日 06時00分更新
TECH大谷:ECSはどうですか?
cloudpack吉田:現時点ではまだ発展途上じゃないですか。ユーザーからするとコンテナをホストするEC2自体は隠ぺいされるわけではないので、運用上の見た目はミルフィーユ状態で、管理が大変になるかも。エンドユーザーよりはSaaS事業者などにぴったりかもしれない。
ISID品田:なによりEC2 Container Serviceという名前が残念。
cloudpack吉田:エンドユーザーとして望んでたのは、同じECSでもEC2 Container Serviceじゃなくて、Elastic Container Serviceな方。コンテナを載せるならユーザーが管理するレイヤーも一個上に上げないと運用が大変なんじゃないかなあ。

コンテナがポコポコ立ち上がるECSのデモ。でも、EC2ではなく、Elastic Container Serviceだったらなあ
Michael:結局クラスターは自分でEC2をローンチして運用する必要がありますからね。思ったよりマネージドじゃない。
新ツールは「自動化スペシャリスト」が重宝しそう
cloudpack吉田:あと、今後重要な職種で「自動化スペシャリスト」という職種があるんですが、今回のre:Inventではそれがさらに加速されるようなツールのリリースがアナウンスされました。
TECH大谷:そんな職種があるんですか?
cloudpack吉田:はい。システムを健全に運用していく中での工程には「構築」「監視」「CI」「保守・トラブル対応」の4種類くらいあると思いますが、今回発表されたツールは、これらの自動化に役立ちます。構築の自動化はAWS Service CatalogなどのCloudFormation系列の強化、監視の自動化は最近のCloudWatch LogsやAWS Configなど。CIはCodeDeploy、Code Pipeline、Code Commitなどが揃い、トラブル対応の自動化という意味では、そもそもEC2のようなプレーンなものよりもLambdaやAuroraのようなマネージドサービスを使うということで実現できると思いますね。
TECH大谷:なるほど。単に自動化するのではなく、どのように自動化するのかが重要になるわけですね。
cloudpack吉田:自動化といってもこのようにさまざまな工程があるので、サービスによるカバー範囲が増えるのは非常にいいことですし、今後は一層こういったサービスを組み合わせて構築・運用を自動化できる「自動化スペシャリスト」の需要が高まると思います。
TECH大谷:どのサービスも日本での活用事例が楽しみですね。
飲み屋トーク③ 吉田流の楽しみ方は「自分のre:invent」を探すこと
cloudpack吉田:あと、イベント全般の話。2年前はADSJの人自体も少なかったので、re:inventに行った人の情報は貴重だったけど、今回、基調講演は動画配信されているし、スライドもすぐに公開されるし、なによりクラスメソッドさんを始め、猛スピードでユーザーのレポートブログが上がっている。こうなると、なぜわざわざラスベガス行くんだっけ? そこでしかできないコトってなんだっけ?を考えなければいけない。自分のre:inventを探すことです。

1万3500人の規模となったre:Invent 2014。受け身ではなく、積極的に現地に行く意味を考えるべき吉田サンは力説する
Michael:確かにセッション聞くだけだと意味ないですよね。中の人と直接話せるのが醍醐味かと。
cloudpack吉田:そう。正直、セッション自体はその時点で上がっている開発ドキュメントを参照した方が効率いいかもしれない。僕自身ブース対応などでAuroraについてはKeynoteもセッションも聞き逃したのだけど、開発ドキュメントを穴が開くほどホテルの部屋で読んでだいたい把握できたし。でも、開発者と直接話す機会は他にないので、セッションに行ったら、登壇者に直接話を聞いた方がいい。これなら金額以上の価値があります。
ISID渥美:あまり詳しくは言えないのですが、製品担当以外にも、セキュリティやガバナンスの責任者と日本の金融動向の情報共有をしました。今後、より密接に連携していけるのが楽しみです。
Michael:私もSQSのマネージャ、AWS ConsoleやOpsworksの担当者等と会っていろいろ文句要望をぶつけて来ました。ダイレクトにフィードバックしたり、されたりできるのは貴重ですね。
ISID品田:英語の壁とか関係なくて、このキーワードを聞くとかという意思が大事。
cloudpack吉田:一昨年、私と得上さんはヴァーナー・ボーゲル出待ちしてましたからね。中卒以下の英語使って。
MB得上:いや、わたしはもうペラッペラですよ。
Michael:この前、筆談してたじゃないッすか!
一同:(爆笑)
cloudpack吉田:けっこう外国のエンジニア、今自分がどういうことやってて、どういう課題についてどう考えているかっていろいろしゃべってくれるので、パブクロールは重要ですね。
TECH大谷:パブクロール(Pub Crawl)?もしかして文字通りの意味?
ISID渥美:パブクロールって言うナイトパーティがあるんですよ。re:Inventの会期中、ホテルのレストランやバー、ミュージアムとか10箇所くらい貸切って、いろんな人と話せるっていう。
MB得上:あの人たち、ビール呑ませれば、どんどんしゃべりますよ(笑)。
TECH大谷:(まあ、この人たちもどんどんしゃべるんだけど)

英語が不自由でも、パブなら現地の人とうち解けられるぞ(ホテル内のパブにて)
Michael:現地に来ている人と仲良くなるのが面白いですよ。せっかく世界中から集っているので、そこも楽しまないと。
cloudpack吉田:あと、日本でAWSを使ったクラウドビジネスをやっている人であれば、出展会場に行って、どんなサービスが流行っているかをチェックするのはすごく意味があると思います。自分のサービスが、グローバルで通用するかチェックするベンチマークとしては、ものすごくいいと思います。ちなみに今年はモニタリングサービスのレッドオーシャンぶりは半端なかったです。
ISID品田:展示ブースってけっこう偉い人立ってますよね。
cloudpack吉田:そう、展示会場で各社のCTOとか、CEOとか回ってきますからね。商談は早いっすよ。来年はぜひ!

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