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顧客が望むSEOの成果と、本質SEOで得られる成果のギャップ

2014年12月05日 17時24分更新

記事提供:SEMリサーチ

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SEOの本質が正しく理解されていないことが招く問題について。

顧客が期待するSEOの成果と、現実とのギャップ

SEO(検索エンジン最適化)業界において世界共通の悩みに違いないのですが、クライアントが期待するSEOの成果、(真っ当な)SEO会社が考えるSEOの成果、そしてウェブスパムが得られるSEOの成果には、大きな認識のギャップが長らく存在しています。

顧客が期待するSEOの成果と、真っ当に取り組んで得られるSEOの成果と、ブラックハットに手を染めた結果

簡潔に述べると、顧客の多くは短期間(数日~1か月)でのわかりやすい(特定キーワードで上位表示)結果を求めることが多いのですが、真っ当に(正攻法で/本来あるべき形で)SEOを実施した時には結果が出るまで時間を要するものである、ここに認識のズレがあるということです。

短期間でのSEO成果を期待するクライアント

縦軸はSEOの成果(パフォーマンス/結果)、横軸に時間をとっています。SEOを相談される、特に特定検索キーワードの上位表示、1位になることをお望みのお客様の要望は、緑色のラインで示される通り対策後に短期間で順位が大きく上がり、自然検索流入も増え、売上も増えることを信じて、そう期待しています。

特に成果報酬型のSEOを提供されている会社を比較してみると、順位改善までのスピードの速さをアピールしている会社さんも多いためなのか(、「3日で上位表示したい」「来月からのキャンペーンにあわせて早急にSEO対策をしたい」といった相談も多いものです。

相変わらず、SEO は順位を上げるためのテクニックであり、そのテクニックを上手に駆使することで簡単に検索順位を改善できるものだという認識が根底にあることが原因と考えられます。確かに日本では某検索エンジンがスパムに対して脆弱であった故にスパムテクニックの合わせ技で検索順位を改善できた期間が欧米と比べて長かったという特殊要因が存在したことは真実であるものの、その認識は改められるべきでしょう。


スパム手法と知らずに手を出してGoogleから削除されるパターン

「SEOなんて、リンク張っとけばいいんでしょ」「何かSEOしておきたいから、とりあえずリンク買っとくか」(※ 実際ある)で悲劇を迎えるのが赤色のラインです。SEO会社の甘いセールストーク -- 対策後直ぐに順位があがります、明日から売上急増です、専任担当者がいないあなたの会社でも安心、うちのSEOは特別な対策をしますので、お客様が一切手を動かさずに上位表示します -- に騙されて一時的に順位が上がっても、Google からスパムリンクであるとガイドライン違反を指摘されたり、自動的にそのリンクが無効化されることにより、ある日突然、検索順位が落ちたり、検索結果から消滅してしまうという悲劇を招くのです。


SEOは長距離マラソンである

顧客が望む緑色のラインが示すSEOの成果、うっかり変なSEOに手を出して得られる赤色のラインの結果に対して、本来(=真面目に、正攻法で)SEOをマーケティングとして取り組んだ時に得られる成果は青色のラインが示すものです。

cf. SEO は長期的に取り組むソリューションである

例えるなら SEO は長距離マラソンであり、耐久レースです。継続的にコツコツと施策をする、2014年現在であれば、コツコツと優れたコンテンツを提供する、あるいはサイト内のタイトルからOGP、ナビゲーション、サイト内検索結果(ページネーション)、関連ページ間のリンク接続、マークアップの見直し、テンプレート/自動生成部分のチューニング等々、細かな改善施策の積み重ねを根気よく行うことによって徐々に成果を出していくものです。

私たちがある人物が本当に信頼がおける人か否か、その人物のことをより深く知るためにはある程度の時間を要するのと同様に、Google が1つ1つのウェブページ(サイト)が本当に価値あるサイト(≒検索上位表示に値するサイト)であるか否か判断する為に一定の時間を要します。そのサイトのオンラインでの評判の具合を総合的に判断して、しかるべき検索クエリで、しかるべき検索順位に掲載するのです。

だからこそ青いラインで示す通り、成果が出るまで時間がかかりますし(サイトの状態や抱えている課題、施策内容にもよるが、半年程度)、地道に検索性に優れたサイトへと改善していく必要があるのです。

私が覚えている限り、少なくとも1998年段階では成果が出るまで最短15分(infoseekの場合)、2002年の段階で「半年は見てください」とお客様に説明していましたので、少なくともここ10年は、SEO は辛抱強く改善の積み重ねをする、長期的に取り組むソリューションとなっています。

さすがに最近は、SEO を正しく認識・理解してくれる人も増えたことにより、じっくりとSEOに取り組もうとする企業さんも増えてきたように思えますが、これは業種業態あるいはターゲットとする検索キーワードによって明確に分かれるように思えます。確かに健康・美容系などのジャンルでSEOされる方、コンバージョン重視系の場合は短期間の成果をビジネス的に求めたい、上司からプレッシャーをかけられている、その気持ちや立場はものすごく理解ができます。しかしながら、どのジャンルであれ、SEO は長く時間をかけて取り組む、そういう時代に入っているのだということを理解頂いて検索エンジン対策と向き合ってもらいたいと思います。


なぜ継続的な取り組みが今日のSEOに必要なのか?

「SEOは長期的に取り組むソリューションである」という言葉について考えてみましょう。今日の検索エンジンが観察しているポイントの1つは「あなたのサイトは、ユーザーに価値ある物事を提供しているのか、価値ある活動・行為・事柄が行われているのか」という点です。

「価値ある活動・行為・事柄」とは、例えば検索需要(世の中のユーザーがいま何を検索しているのか、どんなページを閲覧しているのか等)や、インターネットのトレンド(いまどんな話題を扱うウェブページが増加しているのか等)にあわせて、相応の価値を提供するようにサイトが運営されているか否かといった点です。

例えば、ある日 Google が新しい検索アルゴリズム(仮にクジラアップデート(Whale Updateとする)を発表したとします。検索市場に変化があったのですから、この新しい話題に言及する記事が新たに作成・公開されてしかるべきです。なぜなら、この領域に関心ある人々(特にSEO関連のお仕事に携わっている方々)は、Googleの発表直後からその事柄について情報収集を始めることでしょう。この時に、直後にそのクジラアップデートに言及したサイト X と、3ヶ月前から全く更新されておらず今話題のクジラアップデートにも触れないサイト Y を比較したら、前者の方が「ユーザーに価値ある行いをしている」と判断できるでしょう。

テクニカルな視点から述べれば・・・


  1. 新しいトレンディング「クジラアップデート」「Whale Update」の検索数が上昇

  2. クジラアップデートに言及するウェブページも新規出現・増加

  3. サイトXが「クジラアップデート」の報道と対処方法に言及

  4. クジラアップデートと検索したユーザーがサイトXに流入(+価値)

  5. サイトXに言及(参照リンク及びサイテーション)するページが増加(+価値)

  6. サイトXの該当記事への言及が増加(+価値)

といった流れで、「+価値」の部分が Google に評価されていくわけで、これがオンラインでのレピュテーション(評判)構築につながります。こうした活動が継続的に行われていくことで、常に評判が積み重なっていくことで、Google にもこのサイトはユーザーから支持もある優れたサイトだということが(アルゴリズムで)判別可能になり、しかるべき自然検索順位にサイトXのコンテンツを掲載するようになるのです。

既にブランドが認知・確立している企業や、人気ブランドを有する企業であれば、通常のマーケティング活動を行っているだけで自然なリンクが集まることが多いため、実際に(SEOを念頭に置いた/SEOに重点価値をおいた)コンテンツ開発を行う機会が少ない、あるいはその必要性はない場合があります。例えば、アップルは新しい iPhone や iPad を発表すrだけで世界中の人が話題にして該当商品ページへリンクを張るわけですが、別にアップルは SEO のために iPhone を開発・販売しているわけではありませんよね。

一方で、それほど有名ではない、あるいは誰もが注目する話題の商品やサービスを持っているわけではない、あるいは、そもそも注目を集めることが少ない商材をお持ちのケースにおいて、こうしたユーザーに価値ある活動・行動を示すためには、「コンテンツという価値をユーザーに提供する」ことが必要になってきます。流石に何もしていないのに勝手にまわりのユーザーが話題にしてくれることはないからです。

サイトに何も手を加えない、特段何かインターネットで大注目を集めている事柄があるわけではないのに勝手に毎日リンクが増えていくのであれば、それは「おかしい」ですし、Google もそういった増え方のリンクは「おかしい」と判定し、スパムリンクとみなすのです。こうした事情に加えて、スパムリンクの検出精度そのものが改善されたこともあるために、一時期猛威を振るっていた人工リンクが効果的でなくなり、そういった手法に依存していた企業やSEO提供会社(特に成果報酬型のビジネスモデルを採用しているSEO会社)は苦しい状況に追い込まれているのです。

「SEOテクニックの上手なサイトを検索上位に表示する」時代から、「ユーザーにとって価値あるサイトを検索上位に表示する」という本来あるべき形の検索サービスに時代は変わってきているのですから、こうした現実を受け入れた上で、検索エンジン対策を今後どうしていくのかを考えていかなければなりません。

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