低域をよく消音し、ノイズも低い
騒音を相殺する「消音性能」について文句はありません。特にハウジングを透過しやすい低域の騒音については、今までより高い消音効果を得ているようです。旅客機内で気になる騒音は、低域の成分がほとんどなので、今までより効くはずです。
その割にノイズは、今までのQuietComfortシリーズと同じ程度によく抑えられています。音楽を流さない状態で電源スイッチを入れると、中音域が主成分のホワイトノイズがごくわずかに「シーン」と聴こえる程度で、それと意識しないとわからない程度です。
音質に関しては従来のボーズサウンドそのものですが、今まで気になった中高域の飽和はそれほど感じませんでした。ごく低い帯域から満遍なく音楽の情報を伝え、かつ空間表現も歪にならない点で、単にドンシャリと呼ぶには惜しいチューニングです。
最近のコンプレッションの強いマスタリングが施された音源なら、エッジの効いた中音域とブーストされた低域が楽しめますし、解像感もあるので、音数の少ない小編成のアコースティック音源も不得手にはしません。ただ、ボーズの音が苦手という方は、まだその評価は変えられないかもしれません。
ところで、QC25のトピックは、ノイズキャンセリングをオフにしても使える点です。
電源オフでも十分使える音
ノイズキャンセリングヘッドフォンは、音のチューニングも電気的に施されています。ゆえに、電源オフでも使えることをうたった製品でも、大抵は音もスカスカになってしまうため、電池がなくなった際の緊急避難モードだったわけです。が、QC25の「素」の音は普通に使えます。
もちろん、低域や高域は実にあっさりとしたものになるわけですが、騒音環境下でなければ、そのほうが疲れずに聴ける場合もあります。私は、気が付くと自宅ではオフ、派手な音が欲しい場合はエンハンサー的にノイズキャンセリングを入れる、といった使い方をするようになっていました。
QC25の電源は、単4型アルカリ電池で、持続時間は35時間。旅行で使われる製品なので、充電機を持ち歩かなければならない充電式より、入手性の良い単4型電池ということでしょう。この性能にも不満はありません。
重さはメーカー公表値で、電池、ケーブル含まず195g。前世代のQC15が、電池を含めて約190gだったので、若干の重量増とはなっているものの、装着時に重さを意識することはありません。密閉型のヘッドフォンで、これより重いものはいくらでもあります。
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