農研機構、北海道大学、農業生物資源研究所、香川大学などの研究グループは12月3日、大豆の収穫前の脱粒(豆の畑への落下)を抑制する遺伝子を発見した。
豆類が成熟すると乾燥して莢(さや)がはじけて種子である豆を周囲に撒くのは自然だが、農業では脱粒すると収穫ロスになってしまう。大規模農業が一般的な米国では乾燥しても莢がはじけにくいように品種改良された大豆が一般的だが、日本の大豆は水田の畦(あぜ)に植えるような小規模な栽培が行われてきたため、乾燥すると莢がはじけやすいという特徴がある。
日本でも近年、コンバインなどの機械化された大規模栽培が一般的になりつつあり、従来の品種では乾燥によって脱粒しやすく、畑に落ちた豆は収穫できないのでそのままロスとなってしまうという問題があった。単に欧米で用いられている品種を導入すればよいというわけではなく、味を変えることなく醤油や味噌などの材料とするために在来品種を改良することが求められていた。
研究グループは、大豆の難裂莢(莢がはじけにくい)性遺伝子が、第16番染色体上の1つの遺伝子が壊れて機能を失ったものであることを突き止めた。この遺伝子は野生大豆には見られず、北米や中国で栽培されている大豆の90%の品種が保有している。日本の主要な在来品種にはこの難裂莢性遺伝子は見られず、ほとんどが易裂莢(はじけやすい)遺伝子を持ってる。
農研機構では、易裂莢性の「サチユタカ」「フクユタカ」などの主要品種に難裂莢性遺伝子を導入した品種を育成しており、またそのほかの品種にも難裂莢性を導入する予定だという。