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飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ) 第2回

ヴァーナー・ボーゲルCTOは新サービスをどう語ったのか?

LambdaとECSが登場した2日目、ISID渥美エバが熱血実況するの巻

2014年12月04日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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Lambdaが出るまで引っ張る!引っ張る!

ISID渥美:で、次にSplunkとデジタル音楽配信のOmnifoneと、事例紹介が続きました。このあたりは新発表との脈絡はなかったんだけど、次の天気予報のWather Companyから何回か、開発とテスト、Dev、Testの単語が出てくるんだ。1日目の発表はまさしく開発ツール、プロセスだったから、さらに開発者にうれしい何かが出るんだろうと推測するわけ。次に出てきたのが「マイクロサービス」という言葉。モノリシックなでっかいシステムを作るのではなく、小さいサービスの疎結合で大きいサービスを作ろうという考えですよ。

MB得上:マイクロサービスって、SOAの進化形みたいな感じですかね。

ISID渥美:そう。昔から俊敏なシステム開発の取組みとして、コンポーネント化、SOA、Webサービスとかいろいろあったけど、最近はマイクロサービス。さっきの天気予報は、世界中の数百万のセンサーと数千万のスマホSNSから高精度な予測をだす巨大なシステムの紹介だったので、日々機能改善するのに単一のコードだと入れ替えしにくい。このあたりから何か新しいサービスの発表を示唆しはじめているわけですよ。

2日目の基調講演に登壇したAWS ヴァーナー・ボーゲルCTO

でも、すぐには出てこない。ここでヴァーナーは、DevTestにはマイクロサービスが重要と述べて、Pristineという会社のGoogleグラスを利用したヘルスケアの事例を紹介する。これがよかったー。生まれたばかりの未熟児に会えないお母さんの代わりに、お父さんがGoogle Glassをかけて、ガラス越しで我が子を見るんですよ。そうすると、お母さんにも見られるよって事例。いい話やなあって。

TECH大谷:確かに泣ける話ですねえ。

ISID渥美:すかさずAWSは米国の医療情報保護法であるHIPPAにも対応しているから、こういう医療系の現場でも使えるんだよって話もさりげなく語る。

で、このPristineの人が最後に急に「Dockerは重要だ」と言い出す。「俊敏な開発、テスト、マイクロサービスのBlue-GreenデプロイメントにDockerは欠かせないと」と。このあたりから発表はDocker関連だな、と察するわけ。そこでヴァーナーが戻ってきて、ひとしきり開発者はなぜコンテナが好きかを述べた後、しかしDockerを管理するのは重量挙げのように大変だと。ここが最初の見せ場。ECSが紹介されて、場内大歓声と拍手の嵐。ここまでで46分経過。

TECH大谷:引っ張って、引っ張ってECSだったんですね。

ISID渥美:次にECSの製品マネジャーが瞬時にインスタンスがぽこぽこ上がって消えてゆく印象的なデモを見せつけるんです。加えて、Docker CEOがDockerの上でアプリケーションが行き来する未来を熱く語ってた。

でも、時間を見ると、まだあと20分以上ある。ということは大きな発表がまだ出てくるなあ、一体何が出てくるんだろう、とワクワクしているうちに、次の大発表へジワジワとトークが進む。ヴァーナーは開発者の関心は「Functions(=ビジネスロジック)」、「Data(=ビジネスの状態)」、この間の「Interactions(=イベント)」の3つだけだとほえるように語るんです。アプリケーションの要素はこれしかないんだとね。でもね、このFunctionsの図が“F”じゃなくてわざわざ“λ(ラムダ)”なのよ。

「Functions(=ビジネスロジック)」の横にLambdaあり

TECH大谷:おっ、なんかあるぞと。

ISID渥美:そこで、この日2つ目の大発表だったAWS Lambdaが登場。会場がどよめいて、AuroraやECSと比べると少し遅れて大拍手。みんな、まさかのLambdaですかーって感じだったんじゃないかな。もうお腹いっぱーい。

TECH大谷:で、ハンズの長谷川さんは、日本ではランバダと読むでーって息巻いたわけですね(笑)。

イベントドリブンなアプリケーションを作れるLambdaの意義

ISID渥美:今まで、われわれがイベントドリブンなアプリケーションを作ろうとすると、たとえばイベントをウォッチするサーバーを立てる必要があったんです。でも、拾い損なうと困るからサーバー冗長化するとか、まあ、いろいろと手間がかかっていました。AWSはそこを突いてきた。イベントドリブン型のアプリケーションを作るための新しい仕組みを、マネージドで、しかも超格安で提供すると言ってくれたんですから、これはしびれますよ。開発者はアプリケーションに集中しなさいと言うことだね。

S3バケットに写真がアップロードされると、それをトリガーとしてサムネイル画像を生成するfunctionが自動実行されるLambda function

MB得上:私も、Lambdaはいいなあと思いました。一昨年にはSWF、去年、Kinesisという名前を聞いて、想像したのがまさにLambdaだったんですけど、違かったし(笑)。EC2が処理するスタイルはずっと変わらなかった。

TECH大谷:なるほど。LambdaってIoTアプリケーションが作りやすくなると言われてますが、それは正しいんですか?

MB得上:正しいです。すでにモバイルアナリスティックはLambdaで実装されているんじゃないかと思います。で、Lambdaが出たことで、バッチ処理だし、オーバーヘッド重いData Pipelineで動いているものがおそらくなくなる。

TECH大谷:得上君って、本当に●●がなくなる話大好きだよね(笑)

ISID品田:でもLambdaって最初はnode.jsだけだったんでしたっけ?

MB得上:まあ、一番わかりやすいイベントドリブンがnode.jsですし、ユーザーも慣れてますしね。今後はサポート言語も増えるようですし。

(次ページ、コンテナ対応でIaaSにさよならいっとく?)


 

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