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シャープ、住宅用太陽電池モジュール「BLACKSOLAR」

2014年12月03日 10時00分更新

文● 大河原克行

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 シャープは、住宅用単結晶太陽電池モジュールのフラッグシップとなる「BLACKSOLAR」(ブラックソーラー)の新製品4機種を、12月9日から発売する。

 セル裏面の電極構造の最適化を図ることで、従来製品に比べて約3.5%出力を向上させたのが特徴。太陽電池表面の電極をなくすことで、太陽光を受ける面積を最大化した「バックコンタクト構造」を採用したほか、コーナーモジュールをラインナップすることで、4種類の異なるサイズのモジュールを組み合わせた設置が可能になり、設置容量を約3割向上できるという。

 BLACKSOLARは、セルからモジュールまでを一貫生産する大阪府堺市の堺工場で生産。微細加工、微細接続を可能とする電極加工技術をさらに進化させている。

 ウェハーおよび電極の加工精度を向上。セルの隅々まで電極を配置することで発電量を向上させたという。横方向には数100ミクロンの間隔で電極を配置。電極本数を増加させ、従来無効エリアだった領域の約45%を活用。また、縦方向には電極を伸長させ、同様に無効エリアの約65%を活用できるようになる。「これにより、裏面電極数増加および電極伸長による集電効率向上を図った」という。

 さらに、銅配線の整形技術の向上により、銅配線間の幅を従来の半分に縮小しても電流のロスが少ない配線シートを開発。銅配線の面積を従来比20%向上させ、送電ロスを低減し、送電効率を97.5%へと約3ポイント向上させた。

 これらは堺工場の生産技術によって実現したものであり、電極の印刷精度は一般的な太陽電池モジュールでは約100ミクロンであるのに対して、BLACKSOLARでは約10ミクロンに、電極の接続精度は約300ミクロンから約30ミクロンへと、いずれも10分の1の精度に高めている。

 シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部ソーラーシステム事業部・五角博純副事業部長は、「ブラックソーラー専用にウェハー加工技術を向上させた。これにより、セル変換効率を従来モデルの20.3%から、21%に高めることができた」とした。また、「モジュール出力が従来モデルの203Wから210Wになったことで、堺工場の生産能力は、年間200MWから206MWへと拡大することになる」という。

シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部ソーラーシステム事業部・五角博純副事業部長

 一方で、4種類の異なるサイズのモジュールを組み合わせた「ルーフィット設計」を採用。寄棟屋根のスペースを有効活用でき、寄棟屋根の稜線に沿って配置することが可能になる。

 「コーナーモジュールによって、国内で約5割を占める寄棟屋根に最適化した形での太陽電池モジュールの搭載が可能になる。美しい外観も実現できる」としている。

 シャープでは、約66万通りのCADデータを蓄積しているほか、屋根を熟知した70人の専門技術チームがサポートすることで、迅速で高品質のレイアウト設計が可能になるとした。

 「新規設計案件レイアウトの約97.5%が、過去設計した約66万通りのCADデータに合致しており、これが迅速な対応につながっている」という。

 価格は、標準モデルとなる公称最大出力が210WのNQ-210ADが12万円。コンパクトモデルで148Wの出力を持つNQ-148ADが9万1100円、95Wの出力を実現するコーナーモジュールのNQ-095LDおよびNQ-095RDが、それぞれ5万8900円。いずれも税別。4機種合計で月産5万台を計画している。

 さらに、同製品では、業界初となる太陽電池モジュールの出力と機器の20年間保証、パコンディショナー、電力モニター、架台といったシステム機器の15年間無償保証する「BLACKSOLARプレミアム保証」の対象とした点も大きなポイントだ。

 従来機種では、無償での10年保証と、有償での15年保証としていたが、モジュールではこれを延長。無償で提供することになる。

 「今後は、BLACKSOLARを中心とした太陽光発電システムの販売を強化するとともに、お客様に安心して長期間ご利用いただけるアフターサービスの向上や、クラウド蓄電池システム、クラウドHEMSと組み合わせたエネルギーソリューションの提案を推進していく」としている。

 シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部・横田雅浩副本部長は、「日本ほど買い取り制度が有利な国は少ない。蓄電池などを組み合わせた住宅向け太陽電池事業の取り組みを加速させたい」とコメント。シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部ソーラーシステム事業部・稲田周次事業部長は、「2014年度下期は、上期に比べて、住宅用太陽電池モジュールの販売を20%伸ばす。期初想定に比べて1割増になる」と、新製品投入による販売増を見込んでいる。

シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部・横田雅浩副本部長

シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部ソーラーシステム事業部・稲田周次事業部長

 なお、系統連係接続の回答保留の影響については、「事業への影響は不透明。資源エネルギー庁で系統ワーキンググループが編成され、系統接続の問題について様々な検討がなされており、当社の事業にとって良い方向に議論され、早期に結論が出されると期待している。対象となっていない中小規模案件をしっかりと押さえていきたい」などと述べた。


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