無償のiOS版やAndroid版で、どう収益につなげるか?
だが、iOS版やAndroid版は無償で提供するのが基本だ。利用者数を増やすことで、どう収益につなげるのだろうか。
ケースコーポレートバイスプレジデントは、「『漏斗』(じょうご)のような大きな枠の中から、ある一定数のOffice利用者に、サブスクリプション版を利用してもらうのが基本的な考え方。非常に大きな漏斗の中から、数%のユーザーが、サブスクリプション版に移行したと考えても、ビジネスはこれまで以上に大きなものになる」と予測する。
実際、iPad向けに提供されているOffice for iPadは、今年3月27日のリリース後、現在までに4000万本以上のダウンロード実績を達成。それでいて、コンシューマ向けOfficeのビジネスは成長を遂げている。
「このビジネスモデルへの転換が成功していることが証明できる」とケースコーポレートバイスプレジデントは自信をみせる。
そして、ケースコーポレートバイスプレジデントはこんな風にも語る。
「スタートアップのソフトウェアベンダーなどは、無料版からスタートしてユーザーを広げようとしているが、それがなかなか収益に結びつかずに苦労している。しかし、マイクロソフトの場合は、すでに収益モデルがある中で、無償モデルによってユーザーの幅を広げようとしている。それが他社の無料版との大きな違い。漏斗の大きさを広げれば、今後の収益拡大に向けた地盤作りができる」
マイクロソフトの無償化戦略は他社とは異なる地盤があるというわけだ。
無償化とサブスクリプション版への移行策を加速
マイクロソフトは先頃、サブスクリプション版ユーザーに対して、OneDriveの容量無制限化を発表した。無制限というのはあまりにも太っ腹という感じが否めないが、これもOfficeのサブスクリプションユーザーに対するプレミアム機能の提供のひとつと考えれば、うなずけるサービスであろう。容量無制限化によって、無償で利用しているOfficeユーザーをサブスクリプション版へと移行させようというわけだ。
今後、クロスプラットフォーム戦略をベースにした無償化を加速させる一方で、サブスクリプション版へ移行させるための施策も相次ぐことになりそうだ。それは結果として、ユーザーの利便性を高めることにつながることになりそうだ。

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