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業界人の《ことば》から 第120回

構造改革をやり切る年──ソニー平井一夫社長

2014年12月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

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Xperiaはモデル数を絞り、収益効率化を図る

 11月25日に行われたIR Dayの2日目には、ソニーモバイルコミュニケーションズの社長に就任したばかりの十時裕樹氏が、モバイル・コミュニケーションの取り組みについて説明した。

 その基本方針は、「安定的に利益を計上できる構造を作るために改革を推進する」というものだ。

 十時社長は、「規模を追求するのではなく、モデル数を厳選し、1モデルあたりの収益効率化を図る。そこに経営資源の集中する」と語り、「売上高が20~30%落ちても収益を確保できることを目指す」とする。

 そこで打ち出したのが4つの方針だ。

 ひとつめは、セールス/マーケティング戦略の再構築。日本の本社、ロンドンのグローバルセールスマーケティング拠点、そして、全世界13拠点という3層構造の状況を、効率化していく」とする。2つめは、商品数の厳選だ。過去3年間で商品数は約30%削減してきたが、競合他社では50%の削減が行われており、さらなる絞り込みとともに、コンポーネントの共通化にも取り組むという。3つめは、データベースマーケティングを活用することで、Xperia購入者に対する施策を強化。現在35%の継続購買率を50%に高めていく考えだ。これはソニーファンを作ることにもつながっていく。そして、最後は、本社機能や間接組織の再編などによる構造改革だ。業務経費を30%削減し、粗利率を2~3ポイント改善することで損益分岐点を引き下げていくという。

 平井社長は以下のように語る。

 「今後は、ソニーグループが持つ技術やリソースを投入し、市場で確固たる地位を築いていく。2013年度黒字化達成の原動力となったXperia Zシリーズに代表されるソニーとしての付加価値と、差異化が狙える商品の開発にエンジニアリングリソースを集中し、地域、国ごとの事業戦略を再構築していく方針である。また、これまで培ってきた各オペレーターとの関係を一層強化し、ソニーモバイル全体のコスト最適化にも取り組む。

新経営体制で収益構造の安定化に向けた変革に、スピード感を持って取り組んでいく。構造改革の一部は、2015年にまでかかるものがあるが、問題は先送りせず、本社の経営陣がOne SONYとしてサポートし、着実に収益をあげるための組織への変革を強力に推進していく」

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